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満潮(まんちょう)

 吐く息が白くなり、蓮もプレッシャーと戦いながらついにここまで来た。明日は受験日。全てが決まる。その日、夕食を食べていると、悠真から電話が来た。 「蓮、忘れ物がないかはちゃんとチェックリスト作ってチェックするんだよ?えっとそれから…。」 そんな話を続ける悠真に緊張感を削がれて、蓮は言った。 「俺の母親か、お前は。もう切るからな。」 「あ、待って、蓮。頑張ってね。俺、こっちで待ってるから。」 その言葉は蓮の心を温めた。 「おう。」 そう言って蓮は通話を切った。  判定はA。きっと合格する。大丈夫だ。そう自分に言い聞かせてスマホをポケットにしまった。  蓮は無事大学に合格した。  蓮は次に悠真に会ったら告白をすることに決めた。悠真を好きだという気持ちが膨れるばかりで消えてくれなかったから。膨れすぎて、これから笑いあう2人を傍で見続けることなんてできない。だから悠真自身に引導を渡してもらうことにした。そうしたら少なくともこの恋を終わらせることは出来るはずだ。そう思ってじっとその日を待った。 ■■■ 「合格おめでとう!!」  家に来て開口一番に悠真はそう言った。 悠真は蓮に欲しいものを1つ買ってくれると言った。特に欲しいものはなかったので、蓮は断ったが、じゃあサーフィン用の新しいサーフボードを買おうと悠真は蓮を外に連れ出した。コーラルヘヴンまでの道は見慣れた通学路。悠真は懐かしいと何度も連呼した。まだまだ冬と言える寒さなのに、春が近いからなのか風の強い日だった。

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