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第4話 この気まずい雰囲気は-4ー
志筑の綺麗な顔が近づいてくる
あと15㎝……あと10㎝……あと……
そして志筑の唇が詩乃へと口づけられた
え?
だがそう驚いたのは志筑の方だった
だって明らかに唇の感触とは違うのだ
確かに唇に何か当たってるのは確認できる
だがこれは、そう…………
詩乃の掌だ
詩乃はキスされる直前手を挟み
キスされるのを塞いだのだ
「えっと……何これ?」
詩乃から口を離した志筑がこの状況を尋ねる
「いや、普通に初対面の人にキスされそうになったら
そりゃ嫌でしょうよ」
「嫌?なんで?」
驚いた顔の志筑に逆に驚く
もしかしてあれか?よっぽど自分に自信があるのか?
そして志筑は眉を顰め再び壁ドンをする
「俺、拒まれたの初めてなんだけど
どう言うこと?」
「いや、どう言うことと言われましても………」
そんなこと知りませんよ
心の中でつっこむも実際には声にはしない
しかしこの状況どうするかな?
さっさと荷物を片付けて帰りたい
だが詩乃の答えが気に入らないのか未だ
眉間に皺を寄せてここから逃がす気はないらしい
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