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第6話 意識
あの場から逃げ出した詩乃は急いで家に帰った
マンションの一室の鍵を開けて自宅に入る
「た、ただいま………」
だが返事は帰ってこない
両親共働きのため今は家には一人しかいない
いや、仕事以外のことかもしれない
まぁ、どうでもいいか
薄暗くなったリビングに入り電気をつける
そして鞄を無造作に放り投げると
ソファーに寝っ転がる
「疲れた~最悪だ」
志筑に触れられた頬、キスされた耳
ダメだ、気持ち悪い
男ですら惚れる男だが自分は無理だった
でもまぁ、もう関わることは無いだろう
あれだけ拒絶したんだ
あっちも近づいてくることはないだろうし
詩乃は疲れてしまいこのまま眠ってしまった
それから目を覚ました頃には
外は真っ暗になっており時計を見ると
8時半を過ぎていた
「げっ、寝過ぎた!!」
慌てて起き上がると詩乃の腹がぐぅ~っと鳴った
まだ夕飯を食べていないからかなり空腹だ
キッチンへ行き冷蔵庫を確認する
中には豚肉、人参………
適当に見繕って簡単なものを作ることにした
両親はあまり家に帰らない為料理は自分でしている
短時間で作った名前もない料理を食卓へ運び
一人寂しくそれを口に運ぶ
これが詩乃の日常
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