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未来のために4

「でも、よくパートナーシップ制度なんて知ってたね」 「あきママに訊いた」 「あきママに? お店行ったの?」 「他に知ってそうな人いないから。定時に仕事終わらせて速攻で行ってきた」 「立樹1人で行ったらネコが大変なのに」  そう言って悠は唇を尖らせる。嫉妬なんだろうけれど、嫉妬する相手がいない。 「お客さん他に2人しかいなかったよ。しかもカップルっぽい感じ。だから嫉妬なんていらないの」 「そうなの?」 「早い時間だったからね」 「そっか。良かった。でもプロポーズされるとは思ってなかった」 「結婚式に関しては同性結婚式が可能な式場を探そう。で、ここのパートナーシップ制度を調べてみたらファミリーローンが可能だし、療養看護に関する委任が可能だった。ファミリーローン可能だから家を買おう。賃貸じゃなくてさ、俺と悠の家」 「そう言えば家のことは前から言ってたもんね」 「うん。これはね早めに買いたい。だからパートナーシップ宣誓をしたらゆっくり探していこう」 「うん……」 「また恥ずかしいって言うんだろ」 「だって恥ずかしいじゃん」 「それは同性だから?」 「いや、異性だって恥ずかしいでしょう」  同性愛が恥ずかしいわけじゃないんだなとわかるとなぜかホッとした。  いや、ゲイなのは悠でノンケなのは俺のはずなのに、ことこの件に関しては逆のように感じる。 「パートナーシップ宣誓っていつするの?」 「いつでもいいよ。平日しかやってないからお互いに有休取れるときじゃないと無理だけど」 「そっか。そしたら月の真ん中らへんかな」 「そうだな。でさ、その前に悠の家に行って挨拶したい」 「うん。そうだね。でも俺、親に言ってないからびっくりさせちゃうな」 「親に言ってないんだ?」 「うん。機会もなかったし。それに勇気がなかった。でも立樹とパートナーシップ宣誓するなら親にはきちんと言うけど。でもさ、うちよりも立樹の方が大丈夫? 結婚してたのに離婚して、今度は男とパートナーシップ宣誓するって言ったら大変なんじゃない? もちろん、俺はきちんと挨拶に行くけど」 「子供の気持ちは尊重してくれる人たちだから大丈夫だと思いたいけど、俺、離婚してるからな。なにか言うかもしれないな。でも、悠とパートナーシップ宣誓する気持ちは変わらないよ」 「ありがと。もしなにか言われても頭下げよう。俺、頑張るから」 「ん。結婚式は宣誓した後にする?」 「そうだね。で、新婚旅行行きたい! 海外行きたいけど休みが取れないなら国内でもいいし」 「頑張って有休取らなきゃな」 「うん! 新婚旅行行くって考えたら頑張れるかも」  そう言って笑う悠は可愛いし、今まで見た中で一番の笑顔な気がするけれど気のせいだろうか。  俺がノンケだから言いたいけれど言えなかったのだろうか? 言ったら俺を困らせると思っていたのだろうか?  わからないけれど悠の笑顔が輝いていて、それを見れたことが嬉しかった。

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