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未来のために6

「終わったーー!」 「認めて貰えて良かったな」 「でも気づかれてるとは思わなかった」 「まぁ女性の影が全くないとそう思うのかもな」 「だけどそんなにわかるほどだったのかなぁ」 「それだけ子供のこと見てるってことだよ」 「そうなのかな」  悠の家に挨拶に行って、ひと騒動あるかと思いきや薄々気づいていたと言われ、特に何かを言われることもなく終わった。  持っていったロールケーキを頂き、少し早い夕食までご馳走になってしまった。それもお寿司を。  お母さんいわく、一生1人で生きていくのではと心配していたようだ。  それが相手は男性だけど、パートナーシップ宣誓をしたいという相手を連れてきたからホッとしたという。 「なにはともあれ、悠の方は了承が得られて良かったな。後はうちか……」  父も母も子供のことにとやかく口を挟んでくる人たちではない。  子供の決めたことを尊重してくれる人たちだ。  だから大丈夫なのではないかという思いがなくもないけれど、俺は一度離婚をしている。しかも半年で。  そのことを考えると今度は多少口を挟んでくるかもしれない。  そしてなにより今度相手に選んだのは女性ではなく男性だ。  俺は今まで普通にノンケとして生きてきたから紹介してきた恋人はみんな女性だった。でも今度連れて行くのは男性だ。  差別とは別にそのことを受け止められるのかがわからない。  大丈夫だという気持ちとひと悶着あるのではという不安。 「難しい顔してる」  そう言って眉間をぐりぐりとされる。 「立樹1人じゃないじゃん。もし反対されたってさ、俺もいるじゃん。それで1回で納得してくれないなら何度でも頭をさげようよ。俺はそうするつもりだよ。だって結婚までしてた立樹が男連れて行くんだよ。驚かないわけないし、反対されることだってあるんじゃん。うちはさ、ほら、俺が誰も連れて行ったことないから。特殊なんだと思うよ」  悠はそう言って笑う。  反対されたとき、悠はなにか言われるかもしれない。俺はそれは耐えられない。でも悠は笑顔でいる。  そういうところが男らしいなと思う。  まだなにか言われると決まったわけではない。それでも、同性愛なんて想像もしていない人たちだから一悶着あってもおかしくない。そう思う。  でも悠は何度でも頭をさげようと言う。悠だってそんなことしたくないし、嫌だろうにそういう顔はしない。そんなところを見て俺はもっと悠のことを好きになった。 「もしかしたら嫌な思いするかもしれないけど、そのときはごめんな」 「なに言ってるの。まだ嫌な思いするとは決まってないじゃんも。もしかしたらスムーズにいくかもしれないしさ」 「そうだな。なんでもないことを祈るしかないな」 「うん。それでダメだったら何度でも頭さげようよ」 「最悪は縁切ることもか……」 「なに言ってるの! 縁を切るなんて簡単に言っちゃダメだよ」  俺が言いかけていた言葉を被せるように悠が言う。それを見て、ほんとに男らしいんだなと再度実感する。 「わかった。じゃあなにか言われたら一緒に頭をさげてくれるか?」 「もちろん!」 「じゃあ来週な。電話しておくから」 「了解!」  悠の明るい笑顔に救われる。来週もスムーズに行きますように……。  

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