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未来のために7

 翌週。  俺たちは俺の家のリビングにいた。  電話で紹介したい人がいて、その人が男性だということは伝えてあった。  門前払いを食わされることはなかったけれど、歓迎はされていない。 「……」 「同性婚は日本ではできないから、パートナーシップ宣誓をすることにした。だから、それを認めて欲しい」 「……今まで普通に女性と付き合ってきたし、唯奈さんとは結婚までしたのに、なんで男なんだ? 騙されてるのか?」 「騙されてるってなんだよ。騙されてパートナーシップ宣誓なんてしないよ」 「じゃあなんで女性じゃないの? 唯奈さんとは合わないというのがあったとは思うけれど、他に女性はたくさんいるでしょう。それが男性を選ぶって立樹、どうかしちゃったの? 遊びなら目を覚ましなさい」  父さんも母さんも酷い言いようだ。 「あの。俺は確かに男ですが、立樹さんとは真剣にお付き合いをさせて頂いています。遊びだなんてことはありません」 「じゃあなにを騙しているんです?」 「騙すだなんて、そんな!」  悠は真正面から真摯な態度で向き合っているけれど、父さんも母さんも俺たちの話しをまともに聞いてくれない。 「とにかく、そのパートナーシップ宣誓とやらは認めない。帰ってくれ」  最後は父さんの一言で家を追い出された。  嫌な思いはするかもしれないと思ったけれど、きちんと話しを聞いてくれたとは言いがたい。  やっぱり同性というのは認められないのか。 「ごめんな。父さんや母さんが酷いことを言って」  電車に乗って帰る途中に悠に謝る。   「仕方ないよ。可愛いお嫁さんと離婚したと思ったら次に来たのは男なんだもん、戸惑うよ」 「かもしれないけど……。でも、騙されてるってなんだよ」  認められないのはわかるけど、騙されるというのはわけがわからなかった。  まぁ、父さんや母さんの方もわけがわからなかったんだと思うけれど。   「それは。ごめん、俺もわからなかった。なにを騙してるんだろう。俺、立樹のこと騙してる?」 「好きになるのになにをどう騙されるんだろうな。まぁ、きっとテンパってるんだろうけどさ。悠はもう行かなくていいよ。俺がなんとか話しするから」 「そんなわけに行かないよ。俺もまた行くから。でも、少し間をあけた方がいいかもね」 「そうだな」 「なにか美味しいものでも食べて帰る?」 「早く家に帰りたいからデリバリーでも頼むかなにか買って帰ろう」 「じゃあ駅前のイタリアンでテイクアウトしようか」 「そうだな。明日は休みだし今日は呑もう」 「昨日は呑まなかったからね。お酒まだあったっけ?」 「あるけど少ないはず」 「じゃあコンビニに寄って帰ろう」  今日は精神的に嫌な疲れ方をしてしまったので食事を作る気にはなれないし、お酒でも呑まなきゃやってられない。  それに対して悠はいつもと様子は変わらない。  パートナーの相手の親に酷いことを言われたというのにいつも通りだ。 「なんで普通にしていられるの?」  たまらずに訊いてしまった。 「んー。なにも感じてないわけじゃないよ。でもさ、今まで連れて行ったのは女性ばっかでしょ。それがいきなり男を連れて行ったらびっくりするに決まってるよ。だからしばらくしたらまた行って頭さげる。いつかきっとわかってくれるよ」  悠のこういった前向きなところが俺は好きだ。そう思ったらキスがしたくなった。でも、外じゃそれもできない。 「早く帰ろう」 「うん。そうだね」  

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