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君との結婚式5

 ハワイでのウエディングまでは時間があると思っていたけれど、3ヶ月は意外とあっという間に過ぎた。  その日は午後役所へ行き本人確認をしてもらい、宣誓書等に記入をして宣誓要件の確認後、宣誓要件を満たしていることを確認してもらい受領書を貰った。  パートナーシップ証明書を貰い、これでお互いがパートナーになった。  そしてそれを持ったままハワイへ飛び、やっとホテルへ着いた。  ワイキキビーチの見えるホテルだ。   「あー疲れたー」 「今日は夕方保健局へ行く予定だけど大丈夫か?」  そう。兄さんはお義姉さんと買い物に出かけて、両親は両親でのんびり過ごすらしいけど、立樹の両親と弟さんは3人で買い物へ行くらしい。  着いたばかりなのにみんな元気だよな、と思う。俺はもうヘトヘトなのに。 「飛行機で眠れなかったから疲れたんだろ」 「だって、パートナーシップ宣誓をしたんだよ? で、ハワイ着いたらリーガルウエディングで翌日は結婚式だよ? 興奮で寝られるはずないじゃん。立樹はなんだか落ち着いてるけど」  そう、俺が興奮と緊張の中で感情がぐるぐるしているのに、立樹は落ち着いていた。 「落ち着いてるわけじゃないよ。俺だって緊張してるけど」  そう言うけれど、とても緊張してるようには見えない。もっとも立樹はもともと落ち着いて見えるタイプだけど。 「保健局に行くまで少し寝てな」 「何気にキツいスケジュール組んじゃったよな」 「明日、結婚式なんだから仕方ないだろ」 「うん。式を明後日にすれば良かった」 「緊張するものは早く済ませるって言ったの悠だからな」 「わかってるよー。時差もあるのに、それを考えなかった俺が馬鹿でした」  そう。リーガルウエディングを今日にして、結婚式を明日にしようと言ったのは俺だ。  早めに終わらせないと緊張したままの時間が長くなって精神的に疲れるだろうと思ったのだ。  立樹はリーガルウエディングを明日にして、今日はのんびりしようと言っていたんだった。  いや、日本でパートナーシップ宣誓をしてハワイへ来てマリッジサーティフィケートを貰うために保健局で面談というリーガルウエディングをする。  日本の戸籍上なにも変わらないけれど、これで結婚をしたという実感がわくのではと思っていたけれど、ほんとに結婚するんだという気持ちになった。   「結婚するのって体力勝負なんだね。明日も昼から夕方まで予定びっしりだし」  そう、明日は結婚式の後にウエディングフォトを撮るのでサンセットの時間まで予定がびっしりだ。 「まぁ、でも夕食は少し贅沢するんだから、それを励みに頑張ろう」 「ちょっといいレストランでステーキでしょ。よく9人で予約取れたよね」 「早めに予約したからな」 「うぅ、それまでの辛抱か。明後日はなにもしないでのんびりする」 「そうだな。俺も明後日はゆっくりしたいかも」  ハワイは過去何回か来たことがあるから観光はいらない。その分ゆっくりできる。 「よし!じゃあ1時間くらい仮眠する。立樹は?」 「俺は大丈夫」 「じゃあ時間になったら起こして。遅めのランチ食べてから保健局行こう」 「わかった。起こすよ」  立樹に起こして貰う約束をして、俺は眠りの中へ旅立った。

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