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君との結婚式6

 昨日は保健局での簡単な面談で、結婚の意思のあることなどを訊かれそれに対してほぼイエスと答えるだけでマリッジライセンスを貰えた。  それを先ほどスタッフさんに渡したので、これで後日マリッジサーティフィケートが発行され、俺たちはハワイにおいてはふうふとして認められる。  そして今日は結婚式だ。 「悠、支度できた?」 「できたよ」  ドアの外から立樹の声が聞こえてきたので、ドアを開ける。  そこにはネイビーブルーのショートフロックコートを着た立樹がいた。  立樹は前の唯奈さんとの結婚式でもフロックコートを着ているが、立樹のシャープな顔立ちには丸みのあるモーニングコートよりもフロックコートの方が似合うので、このショートフロックコートを選んだ経緯がある。  そして俺はエクリュホワイトの柔らかい白いタキシードだ。 「うん。試着のときも思ったけど、やっぱり悠には白が良く似合うな。可愛い」 「そう? ありがとう。立樹も格好良いよ」 「ありがとう」  お互いにお互いの姿に見蕩れていると、ドアがノックされる。 「式場に移動します」  今、俺たちはサロンにいてこの後結婚式を挙げる式場へと移動する。  サロンを出ると、リムジンが止まっている。リムジンなんて見たことだって数回しかないのに、そのリムジンに乗って移動するなんて緊張する。いや、車に乗るだけなんだけど。  そうでなくても結婚式前で緊張しているのにリムジンで緊張してる俺と隣で平然としている立樹ではすごい差がある。 「緊張しないの?」 「んー。全く緊張しないわけじゃないけど、さほど緊張してないかな」 「なんで? 2回目だから?」 「どうなんだろう。まぁ、関係なくはないだろうけど」  立樹はいつもどっしりとしている。あたふたするのはいつも俺だけだ。なんだかちょっと面白くないけれど、2人であたふたするよりも立樹が落ち着いてくれている方がいいかもしれない。  立樹がいつも落ち着いていてくれてるから、俺はいつも立樹に甘えてばかりだ。 「今日の式は家族しかいないから緊張しなくていいと思うよ」 「でも、人前でキスするんだよ? 家族の前だからこそ恥ずかしいというか」 「ディープキスするわけじゃないから」 「当たり前だろ。そんなのしたら失神しちゃうよ」 「そうなの? 試してみる?」 「やめて! 絶対にやめて!」  いたずらっ子のようにニッと笑う立樹に俺は本気で慌てて、顔の前で手を振った。  立樹はそれを見て笑っている。 「少しは緊張ほぐれた?」 「え?」 「ちょっとは緊張ほぐれたんじゃない?」  そう言われて初めて、俺の緊張をほぐすために立樹が言ったんだとわかる。 「うん……少しほぐれたかも」 「俺がいるから大丈夫だよ」 「うん」  俺はほんと情けないほどに立樹に甘えているけれど、立樹はそれが嬉しいみたいなので堂々と甘えている。 「もうみんな着いたのかな?」 「着いてるんじゃないか?」 「そう言えばみんなアロハシャツとムームー着るって言ってたけど、うちの父さんと母さんはどうしたんだろう。昨日はゆっくりするって言ってたけど」 「ワイキキ内にあるデパートで買ったのかもよ」 「あ、そっか。それに兄さん夫婦が買い物行ってるしな。お義姉さんと母さんはムームー着れるってなんか喜んでたな」 「うちの母さんなんかアクセサリーまで買うって言ってたな」 「なんか俺たちより力入れてる気がする」 「でも、それでいいんじゃないか。みんなが楽しんでくれる式にした方がいいよ」 「そっか。そうかもしれないな」  そんなことを話しているうちに車は式場に着いた。

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