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番外編7

 緑生い茂る中の露天風呂はなかなか癒やされる。普段コンクリートジャングルで暮らしていると緑を見ることが少ない。だからこういう景色は新鮮だ。 「緑の中での露天風呂って開放感がすごいな」  後からやって来た立樹が言う。確かに普通の露天風呂でも開放感はあるけれど、それが緑の中だと尚更感じられる。 「この貸切露天風呂はいいね。普通の露天風呂もいいけど、この景色の中の露天風呂に誰も入ってこないっていうのはなんとも言えないね。贅沢感が半端ない」 「気に入って貰えたのなら良かったよ」 「でもよくこのホテル見つけたね。有名ホテルだから存在はわかったってここまでのサービスがあるなんて」 「最初は知らなかったんだ。でも最初はちょっと贅沢をしたいと思ってここにしようかなと思っただけなんだよ」 「そうなんだ。俺はちょっといい旅館かなと思ってたからびっくりした」 「うん、俺もそのつもりだった」  そう言って立樹は笑う。立樹が思った以上にいいところがあったってことだよな。だよな、普通は部屋に温泉がついている部屋に泊まれるだけで贅沢なんだから。確かにここは1日中貸切なわけではないけど、他のサービスでそれを帳消しにできる。 「あ、あきママにお土産買っていこう」 「そうだな」 「で、自慢する」  あきママのお店は今もたまに立樹と一緒に行くことがある。あきママは立樹にパートナーシップ宣誓のことを教えてくれた大事な人だ。あきママが教えてくれなかったら、きっと同棲だけで終わっていた。 「ね、明日って予定通りでいいの?」 「乗馬だろう。あとはワイナリーだっけ」 「うん」 「そのコースでいいよ」    ゆっくりお風呂に浸かりながら明日の予定を立てる。今日は遠くまで足をのばしたし、普段は仕事で忙しいから明日くらいはちょっとゆったりめに過ごしたい。立樹にそう言うと、そうだねと同意してくれる。部屋から海を眺めるだけでも十分なくいだ。  ワイナリーは車で30分くらいなので比較的ゆっくりできる。  そうやって明日の予定が決まっていく。旅行しているんだなと感じる。 「悠、一度あがった方がいい。顔が赤いぞ」 「そう? じゃああがって水分補給する」 「その方がいい。俺も一度あがるよ」  普通の貸切時間が30分だったらそんなことはできないけど、時間が90分もあるからこうやって時間を気にすることなく温泉に入ることができる。  そして部屋から持って来た水を飲んで体を休めた。

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