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第3話 萌え袖
風呂に入れて、着替えを貸してやる。袖もズボンも長すぎて何段か折って穿いている。
「おー、萌え袖、だな。」
「何?それ。」
「可愛いって事。
腹減ったな、なんか食おう。」
冷蔵庫からメゾンカイザーのプンパーニッケル(ライ麦パン)とハムの塊、パルミジャーノレッジャーノの塊を出した。
雑にナイフで切り出しながら皿に盛る。レタスの芯を抜いて逆さにしてザブザブ水で洗った。
しっかり水を切って、サラダ用のデカい皿に、一玉全部千切って乗せた。塩と胡椒を引いてごま油を回しかける。
「嫌いなものはないか?」
「うん、大丈夫。」
美味しい、と言ってレタスを半分以上食べた。
「美味しいね。
オレ野菜苦手なのに、こんなに食べちゃった。」
「このパンも美味いよ。
ちょっと酸っぱいような味だけど,よく噛んで食ってみろ。」
ワインを開けた。
「二十歳だろ、飲むか?」
「うん、飲む!」
結構飲んだ。フルサイズのボトルを軽く2本空けてしまった。
薄く切ったライ麦パンに厚く切ったハムと塊から削り出したチーズを挟んで、飲みかつ食らう。
いつもの手抜きスタイルだが食が進むようだ。
「ミコト、顔が真っ赤だ。
酒飲むの初めてか?」
「うん、美味しいね。
眠くなった。歯磨きしてくる。」
子供のようにそう言うと洗面所に行った。
ベッドを用意する。寝室にはヤマトのベッドとタケルのベッドがくっついて並んでいる。
「両方ともセミダブルだから、俺はタケルと一緒に寝よう。今夜は俺のベッドをミコトに貸す。」
歯磨きが終わってソファで寝てしまったミコトをお姫様抱っこでベッドに運んだ。
思いの外,軽い。
(こいつ完全にネコだな。襲われても知らないよ。俺もネコだから、襲わないけどな。)
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