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第6話 タトゥー

 朝のシャワーを使うので、ヤマトはいつものように上に着ていたTシャツを脱いだ。 「ハァーッ!凄い。本物の刺青?」  ヤマトは背中に本物の刺青を入れている。初めて見たミコトは目が離せないらしい。 「タケルのはもっと凄いぞ。龍だから。」 「見たいなぁ。」 タケルに交渉している。パジャマを脱いで背中を見せた。 「凄い!龍だ。」 「そう、二人合わせて龍虎だよ。」 「オレもなんか入れたい!」 タトゥーに感心してずっと見ている。ヤマトの虎もタケルの龍も、和彫りだから半端ない迫力だ。  ヤマトとタケルたちゲイのカップルは、未だ同性愛者の結婚を認めないこの国で、愛の証しを探している。  絶対に別れない前提で本気の墨を入れた。 「ミコトも入れたいのか? よく考えてからにしろよ。親が泣くぞ。」 「ヤマトとタケルは親が泣かなかったの?」 「親を泣かせたのは紋紋入れる前の事だった。 孫の顔を見せてやれない、って言ったら,お袋に泣かれたな。」 「そうか、そうだよね。」 「ミコトはノンケなんだろ?」 「うん、オレチェリーだ。前も後ろも。」 「ぷはっ、笑わせるなぁ。」 吹き出すタケルに 「可愛いねぇ、お兄さんが貰ってあげようか?」 ヤマトが言うと 「ヤマトはネコだぞ。おまえ出来るのか? それとも俺の毒牙に掛かるか?  デッカいの入れてやろうか?」 タケルが笑いながら言った。 「露骨だなぁ。オブラートに包んでよ。」 (俺だって恥ずかしいぞ。) 「具体的な事はよく知らないんだ。 ビデオとかモザイクかかってるじゃん。」 ミコトは初心初心(うぶうぶ)だ。 「モザイク付きのしか、知らないのか?」

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