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第7話 3人
3人の同居が始まった。ミコトは仕事を探しているが、見つかるまでタケルの店を手伝っている。夜になると一緒にバーに出かける。
経験は全くないが、持ち前の人懐っこさで何とかなっているようだ。
俺は気が気じゃない。美容室の仕事が終わると急いでバーに駆けつける。
「あら、この頃いつもヤマトがいるわね。
ヤマト目当てに通っちゃおうかな?」
(常連に歓迎される。自分でいうのも何だが、イケメンは人気だ。)
物静かなバーテンダーのタケルはニコニコ見守っている。
「ミコトはバーテンダーになりたいのか?」
「うーん、見てるのは楽しいけど、やるのは大変だなぁ。接客は好きだ。」
今日は火曜日。俺は休みだ。バーは基本日曜日が休みだからタケルとヤマトは休みが合わない。
火曜日の昼間だけは二人でゆっくり出来るのだ。
他に月に一度、連休も取れる。
この頃ミコトはバーに来る客からホストクラブに誘われている。ホストにならないか?と勧められている。
ホストクラブ、六本木ディアボラ。社長の円城寺に気に入られたようだ。
「お試しで一回店に来てごらん。」
そんな訳で面接に、保護者がわりのヤマトがついていく事になった。
ディアボラに来た。
以前ヤマトは美容室のお客さんに連れて来て貰ったことがあるが、来るたびに驚かされる。面白い店だ。
六本木の表通り。13階建てのビルの最上階。
ホストクラブ『ディアボラ』は13階のフロア全部が店だ。ビルのオーナーが店のオーナーでもある。社長の円城寺は雇われだ。訳あって雇われ社長になった。
オーナーの菫(すみれ)ちゃんは敏腕の不動産屋だ。タワマンに特化して頭角を現した。
上条菫。知る人ぞ知る、上条不動産、だ。
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