10 / 101

第10話 スーツ

 話が早い。ヤマトは身元保証人としてついて来たのに円城寺はそんな事、全然興味無さそうだ。 「ミコトは働くの初めてで、水商売、出来るかどうか。お試し期間とか、ありませんか?」 (俺ばかりが喋るのも嫌なんだが、この社長は、 どうも、したたかな感じがする。  ミコト一人に任せておけない。) 「住まいは店で用意するよ。どうする?」 「あ、それは、大丈夫です。 俺のウチ、代官山から通いますよ。」 (早く出て行って欲しいんじゃなかったのか俺! またお節介をしちまった。)  帰りにスーツを買いに行った。誂える時間など無い。量販店で適当に選んだ。 「ミコト、何着ても似合うな。靴もだな。 また、一式買うんだな。」  ミコトの服を選ぶのは楽しい。 (弟がいたら、こんな感じか?)  買い物が終わって 「何か食っていこう。食べたい物言ってみな。」「焼き鳥!居酒屋に入ってみたい。」 「よし、就職祝いに一杯やるか。」 適当に通りがかりの居酒屋に入った。  ミコトは結構酒が強いかもしれない。焼き鳥を食べて焼酎を飲んだ。紫蘇の香りの美味い焼酎を一本、二人で空けてしまった。  酔って調子に乗った。2丁目の行きつけのスナックに連れて行った。

ともだちにシェアしよう!