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第10話 スーツ
話が早い。ヤマトは身元保証人としてついて来たのに円城寺はそんな事、全然興味無さそうだ。
「ミコトは働くの初めてで、水商売、出来るかどうか。お試し期間とか、ありませんか?」
(俺ばかりが喋るのも嫌なんだが、この社長は、
どうも、したたかな感じがする。
ミコト一人に任せておけない。)
「住まいは店で用意するよ。どうする?」
「あ、それは、大丈夫です。
俺のウチ、代官山から通いますよ。」
(早く出て行って欲しいんじゃなかったのか俺!
またお節介をしちまった。)
帰りにスーツを買いに行った。誂える時間など無い。量販店で適当に選んだ。
「ミコト、何着ても似合うな。靴もだな。
また、一式買うんだな。」
ミコトの服を選ぶのは楽しい。
(弟がいたら、こんな感じか?)
買い物が終わって
「何か食っていこう。食べたい物言ってみな。」「焼き鳥!居酒屋に入ってみたい。」
「よし、就職祝いに一杯やるか。」
適当に通りがかりの居酒屋に入った。
ミコトは結構酒が強いかもしれない。焼き鳥を食べて焼酎を飲んだ。紫蘇の香りの美味い焼酎を一本、二人で空けてしまった。
酔って調子に乗った。2丁目の行きつけのスナックに連れて行った。
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