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第11話 ゲイバー『再会』

 スナック再会、の看板が出ている。ゲイバーだ。 「あら、いらっしゃい。 あなた誰だっけ?もう忘れたわ。」 美人のママが拗ねている。久しぶりだった。 「冷たいなぁ、今度タケル連れて来るから、機嫌直してくれよ。  今日は俺の秘蔵っ子、連れて来たんだよ。 ミコトだ。」 「あら、隠し子?」 「ひでぇなぁ。俺、いくつの時に作ったんだよ?」 「小学校で女孕ませた?」 「ふざけんなよ、笑えねぇよ。」 「ミコトちゃん、可愛いわ、ノンケなの? お姉さんみたいなの、どお?」 「あ、き、きれいです。」 「ミコト、どんなにきれいでも ママはチンコ付いてるぞ。」 「えっ?」 「もう、言わなきゃわかんないわよ。 ヤマトったら。」  確かに美人だが、バリタチらしい。ベッドの中では実に男前だ,という噂だ。  タケルだけは例外らしくてタケルになら抱かれたい、などと公言して憚らない。  抱くなら俺の方だろ、と言ってもネコは余ってるっていつもフラれる。 「あたしはね、いつもタケルとヤマトの幸せを願っているのよ。  二人の仲を壊す訳には行かないものね。 でも、タケルならいつでもどうぞ、遠慮なく。」 「何言ってんのかよくわかんねぇな。 ミコトはどう思う?」 「オレ、童貞だから、なんでもいいから早く捨てたい。」 「まあ、後ろも前もまだなのね、可愛い。 取り敢えず、なんか飲んで売り上げに貢献してちょうだい。」  オカマのママにボトルを入れさせられた。 「ジェムソン、入れるわよ。好きでしょ。 3ヶ月だよ。3ヶ月で切れるから、ちゃんと飲みに来なさいよ。」 「オレ、ハイボールにして。」 ミコトは炭酸を貰って、ジェムソンを飲みだした。こいつは結構酒強いのか? 「アイリッシュウヰスキーは癖がなくて飲みやすい。いくらでもイケそうだ。  タケルの店ではスコッチのシングルモルトばかり薦めてくるから。」 「確かに癖が強いけど、慣れるとアレじゃなくちゃダメ、ってなる。」 「ママみたいじゃん。」 「え?誰がクセツヨだって?」 ママの目力(めぢから)が半端ない。

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