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第18話 ミコトの願い

 3人の暮らしにも慣れてきた。ヤマトはミコトに遠慮しないでタケルに甘える。時にはミコトに見せつけるように。  ヤマトはミコトが女の子と初体験を迎えて欲しいと思っているが、周りは野郎ばかりだ。  誤解していたかもしれない。ミコトはガキだから、初体験なんて焦ってないのか、と。  しかしミコトの胸に純愛を植え付けたのは、ヤマトとタケルだったらしい。 「オレ、恋人欲しいです。 ホストだから誘惑っぽいのは毎日あるけど。 でも、本気で好きになる人には出会えない。  ヤマトとタケルみたいなカップルが理想なんだ。」 (あーあ、俺は嫌だよ。) 何がって?タケルを貸すのは嫌だ、って言ってるの!  ミコトはタケルみたいな男っぽい人に抱かれたい、って言い出した。 (やっぱりそういう事になるんだ。 前にもそういう事があったんだよ。) タケルはモテる。誰かに取られないようにヤマトはいつも必死だ。  タケルはバーなんかやってるから、毎日誘惑が、客の顔をして店に来る。ヤマトは気にしてないフリをする。束縛野郎にならないように。  その分帰って来たらタケルに甘える。知らない人が見たら、腰抜かすほどの、甘々のヤマトをタケルだけが知っている。タケルだけにはヤマトの全部を知って欲しい。何も秘密は無い。 (俺は後で自分の未熟さを思い知るんだけどね。 秘密のない人間は魅力もない,って事を。)  ヤマトが仕事から帰って来たら、寝室でタケルが眠っていた。そしてミコトが添い寝している。  ヤマトだってこの前、ミコトを胸に乗せて寝落ちしてた事がある。その後風呂で抜き合いまでしたんだ。  もしもタケルが同じ事をしたらちょっと嫌だ。 (立場を代えてシミュレーション出来ていなかった。俺のバカバカ!)

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