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第20話 仕切り屋
パーテーションで半個室のようなテーブルだった。
(なんでお前がタケルの隣なんだよ。)
4人掛けのテーブルで、向かい合わせに座ったヤマトとタケルの、タケル側にちゃっかり、ミコトが座った。ヤマトは怒り心頭、の気分だ。
「最初にタン塩、3人前かな?」
生ビールで乾杯だ。
「網、変えて、カルビとハラミと後、何がいい?」
勝手に仕切り始めた。
「カクテキと、サンチュとエゴマの盛り合わせ。
あと、テグタンスープ。それと冷麺。」
(ミコトが仕切る仕切る。勝手にしてくれ。)
「俺にチャミスル。一本入れて。」
焼酎をがぶ飲みする。
(飲むしかねぇよ。)
タケルがサンチュとエゴマの葉で、焼けた肉を包んでコチュジャンを塗りつけて巻いたものを、ミコトの口に入れてやってる。
(タケル、それ、いつも俺にくれるやつ!)
子供じみて、でも耐え難い思いに焼きキレそうだ。突然立ち上がったヤマトは
「悪い、気分が悪くなって。先に帰る。
ゆっくり食ってくれ。」
「大丈夫か?一人で帰れるか?」
「ああ、大丈夫。
美味い焼肉、残さないで食えよ。
ミコト、チャミスル呑んでいいぞ。」
精一杯の矜持で、笑顔を作って出て来た。
(帰りたくねぇな。)
タクシーを捕まえて2丁目に行った。
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