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第23話 3人
ミコトがやっぱり、ドアの外で覗いていた。
覗かせてやろう、と鍵はかけない。もともと、この部屋に鍵は付いていない。
(いいなぁ、二人とも。
オレも死んでもいい、と思える相手にめぐり会いたい。)
中々チェリーは捨てられない。ホストクラブなら相手はたくさんいると思ったのに。
ミコトは純愛を望み過ぎるのか?
タケルもヤマトも、ミコトの事は特別扱いする事にした。二人で可愛がって甘やかしてやろう、と意見が一致した。セックスは無し、だ。
ミコトはホストに専念しようと思っている。
自分には色気が無いらしい。お客さんは品のいい人が多い。見目(みめ)のいい男を連れて歩きたがる女性に、色々な高級な所に連れ歩かれる。
見せびらかしたいのか。一流のレストランに連れて行かれたり、何か高級品を買い与えられたり
ディアボラは、金持ちのマダムが若い男と楽しく過ごす所だ。オーナーの菫ちゃんの女性実業家仲間がたくさん来店する。
品のいい知性のあるマダムたちのサロンなのだ。シャンパンもサロンが人気だ。サロン、数十万円の酒は、クラブの売値では百万円を超えるだろう。
表立ってセックスの相手を望むような人はいない。どちらかと言えば、ペットのような扱いだ。大切に可愛いがられる。
同じビルの下の階にディアボラと兄妹店がある。そこはキャバクラで綺麗なお姉さんがたくさんいる。女性ばかりだ。
数機あるエレベーターも夜は繁忙時間が重なって中々来ない時がある。ホールで待っていると女の子が泣きながら走って来た。
ミコトを見つけて
「あなた、ディアボラの人ね。
凍夜(とうや)に言っておいて。
ウチの店の女の子をみんな兄弟にするつもりなら黙ってないわ!ってね。」
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