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第24話 凍夜
凍夜はディアボラきってのイケメンで、歌もダンスもプロだ。スカウトが来ても断っている。
何か外国でデビューするために、今はボイストレーニングとコンテンポラリーダンスをやっているらしい。
3才の頃からモダンバレエをやっていたという。高校生で研究生になり、将来を嘱望されていたが、ある時、突然、研究所を辞めてしまった。
凍夜の心の中は誰にもわからない。女好きで手が早い、とは聞いていた。
まだ、客が入っていない時に凍夜が来たので、さっきの話をした。
「下の店、アンジーだっけ。
そこの女の子が泣いてたよ。
凍夜がみんな兄弟にしちゃうって。
意味ワカンネェ。」
「ああ、マリアだ。
抱いたら本気になっちまって、アンジーの女の子がほぼ全員俺に抱かれた、って知ったらしい。
同じ男に抱かれると兄弟と言われるんだ。
魔羅兄弟って聞いた事無いか?」
「凍夜って凄いね。
アンジーって嬢が30人くらいいるよ。」
「みんな向こうから来るんだよ。
俺は欲しく無いのに。」
(ディアボラの中ではそんな事全然わからないのにいつ誘うんだろ。
オレはいつまでもチェリー引きずって、捨てられないのに。)
ミコトはある決心をした。エレベーターホールでアンジーの女の子に会ったら声をかけてみよう、と。
彼女たちは仕事で恋をするのだろうか?
風俗とかのプロではなく、本当の恋をしたいんだ。
チャンスが巡って来た。ホールに女の子が一人。ドレスを着てるから、きっと嬢だろう。
『アンジー』の娘かな?
「おはようございます。
オレはディアボラのミコトっていいます。
お名前教えてくれませんか。」
「え、アタシ?
アタシは『アンジー』のナザレ。
名刺あげるわ。お店に来てね。
アタシも行くよ。
でも高いんだよね,オタク。」
「あ、大丈夫。
来てくれたら安くするよ。」
エレベーターが来て2人で乗った。
『アンジー』は10階だ。
『アンジー』と『ディアボラ』
天使と悪魔っていう意味だ。
円城寺が
「初めて女性のいる店を出した。」
と一時派手に宣伝していた。
円城寺は、今までホストクラブばかりやってきた。初めてキャバクラを出したらしい。菫ちゃんはオーケーしたのか?
美人を揃えて評判の店。ディアボラのホストとの恋愛は禁止されている。
建前だけだ。特に凍夜は手が早い。
本人曰く、
「女の子が放っておいてくれない。
お客さん捌くだけでも大変なのに。」
それでもお誘いがあれば、全部に律儀に手を出す。絶倫でもある。
(ふーん、女の子から抱いて、ってくるのか?)
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