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第26話 バー高任②

「ただいまぁ。タケルは帰ってる?」 「どうした?」  ミコトは『バー高任』に行った事を話した。 タケルもヤマトもよく知っている店だった。 「俺は、スグルさんの店を見てバーをやろうと決めたんだよ。  高任傑に心酔してるんだ。あの人は凄い人だよ。全部マネしたい。マネしても追いつかないけどな。」  タケルの興奮は冷めない。一晩中,その話でミコトは眠らせてもらえなかった。酔いも冷めてしまった。  タケルはいつも冷静なのに、こんな一面があったんだ。確かに高任のマスターは素敵な人だった。  あの日からずっと高任傑のことが頭から離れない。たまにレオンを店で見かけてもスグルさんと繋げてしまう。そのくせバーには畏れ多くて近寄れない。レオンの綺麗な接客を見ていても、二人の寝姿を妄想してしまう。 (オレは最低だな。)  レオンが声をかけて来た。 「ミコト、スグルがまたおいでって。 時間あったら来れる?連れて来いって言われてるんだよ。」  ホストクラブの接客どころじゃない。 (会いたいな、スグルさん。)  この気持ちはなんだろう? 遠くから見てるだけでいいんだ。 「また、来ました。 スグルさんのお酒飲みたくて。」 「いらっしゃい。 礼於に無理矢理誘われてるんじゃないといいけど。」 「いえ、むしろオレが無理矢理ついて来てるんで。」 「ねぇねぇ、スグル、ミコトは恋人募集中だって。誰か紹介してあげなよ。」  笑ってる。スグルさんの笑顔にドキドキする。 「恋人って、女の子?男?どっち?」 「え、と、オレ、どっちかと言えば男がいいです。」 「ああ、そうか。ヤマトとタケルの影響か。 あの二人はラブラブだもんなぁ。」 「スグルさんとレオンもラブラブカップルだって。タケルが言ってた。」 「そうだよ。大恋愛なんだ。 色々あって、僕がイギリスまで追いかけて行ったんだ。」  話を聞くとドラマチックで、ますます憧れる二人だった。 「オレも大恋愛したいなぁ。」 「大丈夫、いつか巡り会えるよ。」  慰められて、カッコいいカップルに送られて帰って来た。

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