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第32話 凍てついた夜 6
地下駐車場は広く、急いでついていかないと迷いそうだ。凍夜が立ち止まって機械を操作している。この区画に車があるのだろう。
恥ずかしくなるような派手なスーパーカーだ。
「わあ、これなんて言う車?
ランボルギーニって読める。ウラカンって?」
「おまえの知ってるのはカウンタックだろ。
シザードアが上に開く。ガルウィング。
これはV10(ブイテン)ウラカン。」
「凍夜って車詳しいの?」
「女に乗るより、車に乗る方が好きだ。
でも日本じゃあまり楽しく走れないな。」
それでこんな郊外に家を買ったんだって。
田舎は空いてるから、すぐに高速に乗れるし。
と言った。意外な一面だ。そう言えば凍夜は酒をバカ飲みしない。いつも舐めるように飲んでいる。弱いのか、と思っていた。
人には飲ませるけど、自分はセーブしている。
凍夜は運転凄く上手い。意外にも安全運転だ。
「凄いね、凍夜カッコいい。
これに乗ったら、女の子みんな惚れちゃうね。」
「これには誰も乗せたことないんだ。
おまえが初めてだ。」
ミコトは頭が真っ白になった。
(どう言う事?たまたま買ったばかりの車だったとか?誰も乗せるヒマがなかった,とか。)
「新車なの?」
「いや、もう10年くらい乗ってるよ。」
ランボルギーニ・ディアブロから乗りかえて
ウラカンがデビューした2014年から乗ってる。
俺の命。大切に乗ってきた。
生身の人間よりずっといい。」
ホストの稼ぎは全部、車につぎ込んだ、という。
東京 代官山に着いた。
「オレ、今知り合いの所に居候してるんだ。」
代官山のヤマトとタケルのマンションに送ってもらった。
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