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第33話 凍てついた夜 7

 今夜もディアボラは賑やかな夢の世界だ。 ミコトに初めて本指名が入った。 「え、オレに?」 凪さんだった。  昨日朝帰りして、ヤマトとタケルに心配をかけた。 「もう子供じゃ無いんだから煩い事は言わないけど。何かあった?」  簡単に凍夜の事を説明した。 ディアボラが終わってレオンと『バー高任』に行った事。ディアボラの同僚の家に行き、凄いスーパーカーで送ってもらった事。  簡単に説明した。実際、それだけだった。 ミコトの心の中がザワザワしているだけだ。 「そっか、まだチェリーのままかぁ。」 「え?え?なんて事言うんだ。何も無かったよ。」 「ミコト、なんで焦ってるの?」 「焦ってないよ。」 そんなやり取りがあった。 「ありがとうございます。 オレ、初めて本指名もらった。 今日は凍夜と同伴じゃなかったんですね。」 「そ、振られちゃった。忙しいんだって。 凍夜は確か北関東の方のリゾートマンションに家があるって言ってた。今日は家から出勤だから同伴出来ないって。明日日曜なんだから今夜帰ればいいのにね。なんで昨夜だったのか。」 「凪さんは凍夜の家、行った事あるんですか?」 「ないわ。誰も行った事無いんじゃないかしら。 私のマンションには泊まったことあるけど。」 ほんのり頬を染めて凪さんは言った。泊まる時は凍夜に抱いてもらえるんだろう。 「小説家はね、少し不幸な方がいいのよ。 寂しさで追い込まれて、書くことしかなくなるから。」  そう言って笑った。  凍夜が入って来た。王子様の出勤だ。 ミコトは混乱した。凍夜の同伴相手は、物凄い美形の男だったから。  店の中がザワザワしている。みんなが見ている。凍夜はその男をエスコートしてテーブルについた。凍夜より年下か?同じくらいか。スマートな男性。俳優とかだろうか。  飲み物が届いてグラスを軽く合わせたら、席を立ってこちらに来た。 「いらっしゃい、凪。」 「凍夜、あの方はどなた?」 「ああ、俺のアマンだよ。」 「うそ・・・」

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