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第34話 凍てついた夜 8
ミコトは帰って来てからも考え込んでしまった。
(凍夜には男の愛人がいる?)
ミコトに関係ないのに、ずっと気になっている。
心に刺さった小さな棘?
凪は凍夜とチークダンスを踊りながら、何か耳元で囁かれて、機嫌を直したようだ。何を話したのか、ミコトにはわからない。甘い言葉に嬉しそうになった凪。
ーーその夜、真っ白いスーツで決めて、白いスポーツカーから降り立つ凍夜。
「わあ、凄い、これもウラカン?」
「違うよ、ウラカンの前のモデル。ガヤルドだ。
2008年のモデル。
こいつは海が似合うんだ。
行くかい?
海までドライブ。
隣に乗せるのはおまえだけ。」
真っ白い車に合わせて真っ白いスーツに着替えたのか?ーー
そこで目が覚めた。
「わああ!これは夢だよね!」
飛び起きた。でもそこは海岸に止めた車の中。
天井が低い。頭をぶつけた。
夢と同じ、白いスーツの凍夜がいる。
「嘘でしょ。
ここは何処?
何で海にいるの?」
「昨夜、店が終わっておまえのマンションから、直行したんだよ。
店では凪が離してくれないからずっと凪に着いてただろ。」
そうだ、テネシーウヰスキーを飲み過ぎた。
(ヤマトには許可を取って、酔っ払ったオレを連れて来たって。)
「あの、アマンは?」
「あ、彼はディーラー。
ランボルギーニ専門の。
キース、ドイツ人とのハーフだよ。
綺麗な男だろ。
俺のアマンを大切に守ってくれる人。
アマンは車の方。」
ミコトは混乱の極み、だ。
「ウラカンの前のモデル、ガヤルドが入ったからって持って来てくれた。前から探してもらってたんだ。真っ白な奴。
ランボルギーニに乗せるのはおまえだけ。」
「なんで?」
「おまえ、ガキみたいにスーパーカー喜ぶじゃん。」
(愛の告白、みたいな事を言ってるわけじゃ無いよね。)
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