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第40話 苦い麦 4
「もう俺に話したんだから、おまえの呪いは解けたな。その男と二人だけの世界は無くなったんだよ。二人だけの秘密なんてもう秘密じゃない。
ミコトが自分から殻を破って縛りを解いたんだよ。」
「あ、そうか、そうだよね。
誰かに話してしまえば良かったんだ。
自分で自分を縛ってた。今、気付いた。」
(そんな簡単な事だった。子供心の生真面目さで、一生懸命秘密にしてたのは、こんな他愛無い事だったんだ。)
「オレ、凍夜って怖い人だと思ってた。
意外と弱虫な奴?」
「あーあ、舐められたもんだ。
なんかおまえ、図々しいな。
俺の家で寛いでるの、なんか腹立つ。」
「え?ひどいなぁ。
大告白大会だったのに。もう凍夜とは友達だよ。」
「友達じゃ犯せないな。つまらん。」
「そんな気、無かったでしょ。
なんかお酒飲みたいな。ビールじゃなくて。」
今は真夜中だ。もうすぐ夜が明ける。
寒い季節じゃ無いのに、一番寒い時間。
恋人たちが抱き合って眠る時間。
「少し眠ろう。嫌じゃなかったら俺の部屋で寝ろ。」
凍夜の寝室に行った。
(いよいよ、チェリーを卒業できるか?
と一瞬思ったけど、違うな。
今そんな事したら人でなし、だ。)
凍夜のベッドは広くて、乱れていた。
ここだけ、生活感がある。
「なんでこんなに大きなベッドなの?
あ、彼女が来るのか。」
「ここには誰も連れて来ないよ。
おまえが初めてだ。俺とセックスしたいのか?」
「ち、違うよ。
でも触れ合いたいな、って思った。
凍夜は、気持ち悪くないから。」
「あーあ、子供か。手が出せねぇな。寝ろ!」
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