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第48話 鯛めし
「いらっしゃい、あら、今日は一人じゃないのね。」
「ばんや」の女将さんが出迎えてくれる。
「こんにちは。今日は二人。
これからはいつも二人です。」
「俺たち結婚したんだ。」
男同士で、変に思われるんじゃないか?という凍夜とミコトの心配は杞憂のようだ。
「女将さん、俺たちに理解あるんだね。」
「ふふふ、愛し合ってる二人を見るのは、どんな時でも嬉しいものよ。
今日のおすすめは?何があるかな。
ちょっと待ってて。」
しばらく待って、大きな土鍋が出て来た。蓋を取ると見事な鯛が尾頭付きで乗っている。
女将さんが
「これは、私からのお祝いよ。
この辺りで釣った真鯛。鯛めしよ。」
ミコトの顔を見て、
「彼はずっと一人で、寂しそうだったのよ。」
目の前で、きれいに鯛をほぐして骨を取ってくれた。
「凄いね。美味しそう。オレ、魚大好きなんだ。」
「鯛の潮汁もあるから。
これも美味しいの。」
凍夜はミコトの食べる所を見るのが好きだ。
一緒に食事をしても、女は、ダイエットだとか、面倒くさい。
大体魚を食べるのが、下手な奴ばかり。きれいに魚を食べる女に出会った事がない。
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