53 / 101

第53話 友達

「この金髪野郎は俺の子供の頃からの友達。 キース。一緒にバレエをやってたライバルだった。」 キースが 「高校の頃、一緒にアメリカにダンス留学する予定だったけど、凍夜がドタキャンしたんだ。」 それでキースも辞めたんだそうだ。  二人とも日本のダンス界の期待の若者だったそうだ。 「キースまで辞める必要無かったんだよ。」 凍夜はいつも残念に思って来た。  「だって、親父が日本の代理店任されて、手伝えって勉強中だったからね。 自動車整備の勉強とか、A級ライセンス取って運転技術も猛特訓させられた。A級ライセンスはわりと簡単に取れるけど、レースとかめっちゃ怖かった。テストドライバーとか、一応何でも一通りやらされた。  スーパーカーを日本にどう売り込むか? 才能もないバレエに使う時間は無かった。  凍夜が辞めちゃって、いいタイミングだった。」 「じゃあ、今は車屋さん? スーパーカー売ってるの?」 「そう、買ってくれますか?カタログいる? そうだ、運転免許もってるの?」 矢継ぎ早の質問に 「いいの。凍夜が乗ってるのがあるんでしょ。 それに乗るわ。助手席に。」 (凍夜の横はオレの指定席だ。) ミコトは、凪が、少し嫌いになった。  キースについて来たショーンが退屈そうに、ジンとジミーに絡み始めた。 「ねぇ、スーパーカーとか。 ホストってそんなに儲かるの? アタシにも出来そう?」 「オカマは無理!」 キースがひどい言い方をした。 「ひどぉーい。 じゃあ、オカマ辞めるよ。」 急に野太い声で、男っぽくなった。

ともだちにシェアしよう!