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第54話 モータウンの再現

 フロアにラテン音楽がかかった。 「踊ろう、キース。」 ショーンが誘った。 「凍夜も私と踊って。 ラテンってセクシーじゃない。 私を蕩けさせて。」 凪がその気になっているのが、ミコトは気が気じゃない。 今日は、ディアボラの設えが、1960年代のモータウンのディスコティックだ。  チープなミラーボール。大きいマイクスタンド。懐かしい曲に混じってたまにセクシーなラテン音楽がかかる。昭和っぽくて,安っぽいか、と思えるが、意外と若いお客さんにも人気なのだ。  キースとショーンが踊ると客席がざわめいた。 美しい男が二人。その踊りがまた途轍もなくセクシーなのだ。  凍夜は凪を相手に、普通にそつなくマンボのステップを踏んでいる。段々踊るのがつまらなくなってくる。  キースとショーンがフロアを席巻している。凪の素人くさいダンスが気恥ずかしくなった。   凪の肩を抱きとってセクシーなステップを一つ二つ、凪は付いて来れない。抱きしめて、軽くキスして、席に戻る。  客席の目は、キースとショーンに釘付けだ。サルサに変わった。相変わらずセクシーな二人。 「凪、ダンスはあの二人に任せよう。」 「ええ、もう帰りたいわ。送ってくれるんでしょ。」 「ああ、送るよ。車なんだ。 家まで送ったら今夜は帰るよ。」 「嫌よ。朝まで一緒にいて。 抱いて欲しいのよ。」  凍夜はヘルプのジンに合図して店を出た。今夜の会計はキースと凍夜で折半だ。 「凍夜、帰っちゃったね。」 「わがままなお姫様のお相手は大変だな。 ミコトは大丈夫か?帰る所あるのか?」 「うん、前に住んでたヤマトの所に行くよ。 ホスト続けるの、辛いものだね。」 ショーンが 「ボク、ホストやってみたいな。 どう思う?」 「ルックスはいいけど、接客はどうかな?」 ジミーに 「円城寺さんを呼んでくれる?」 ミコトがおせっかいを始めた。

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