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第55話 ホスト
円城寺がショーンに聞いた。
「やあ、君はミコトの友達?」
「違います。凍夜の関係者。踊り仲間、かな?」
かわりにミコトが、慌てて答えた。
「初めまして、ショーン・ロビンズです。
家は西麻布。生まれも育ちも霞町です。
今、25才。身長は178cm。アメリカ国籍。
両親と姉と兄がいます。最終学歴はJ大、人文学科。あと、何が必要ですか?」
流れるように自己紹介するショーンに、円城寺は
「ありがとう。君のことは大体わかった。
いつから来る?」
「じゃ、明日から。
ジンさんジミーさんよろしくね。」
人懐っこいショーンにタジタジだ。
ミコトはキースに小さい声で
「ホントにいいのかな?」
「ま、大丈夫でしょ。なんとかなるよ。」
タクシーで、久しぶりのヤマトとタケルのマンションに来た。メールしたら眠そうなヤマトがエントランスのロックを解除してくれた。
「ごめん。堅気の仕事人を起こしちゃった。」
「だから、鍵持ってろって言ったのに。
夫婦喧嘩したら実家に帰ってくんだろ。
ここがおまえの実家だから。」
「ありがと、ヤマト。」
ヤマトがハグして顔をじっと見つめる。
「ミコト、幸せ、なのか?」
「うん、幸せだよ。まだ、途中だけど。
チェリーが半端だ。」
「わぁー!バカなのか、凍夜は?」
お茶を入れてくれた。
「もうすぐタケルも帰ってくるだろ。
俺寝るから。明日は早番なんだ。」
まだミコトの部屋はそのまま残っていた。
一人になって寂しさが込み上げて来る。
泣いてしまった。凍夜がいないと眠れない。
タケルが帰ってきたようだ。部屋にノックの音。
「やあ、ミコト。
まだそんなに経っていないのに、随分会ってないように感じるな。元気だったか?」
タケルのハグはウヰスキーとタバコの匂いがした。
「タケル、お父さんの匂い。」
「そうか?少し酔ってるかな。」
「オレ、おとうさんを知らないから、多分タケルがお父さんだ。」
「ははは、8才でおまえを作った事になるな。
いいねぇ。」
「おつかれさん。
オレももう寝たい。お休み。」
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