56 / 101
第56話 一人で眠れない
今頃、凍夜は、凪を抱いているのだろうか。
ホストなんだから当たり前だ、と思っても割り切れない。凍夜の過去を気にしたらキリがないって、ミコトだってわかっている。
でも過去のことでは無い。現在進行形の情事は耐え難い。
「わかってる。そんな男を愛したんだ。
でも、一人にしないで。」
スマホが煩い。何回も呼び出している。
「ミコト、どこにいる?
本当の事を話してやっと解放されたんだ。
ごめんよ、一人にして。」
「うん、ヤマトのマンション。」
「すぐ、迎えに行く。」
凍夜は蒼ざめた顔で帰って来た。
「凪に全部、話したんだ。
ミコトを愛している事。彼女は信じない、って言ってた。思い詰めて何かしなければいいけど。」
「凪さんはそんな弱い人じゃないよ。
きっと作品に生かす何かを掴むよ。」
明け方、家に帰った。今ではここが凍夜とミコトの家。
凍夜に抱かれて、幸せを噛み締める。今なら最後まで出来そうな気がする。くちづけから身体を
弄るその手が、感じさせてくれる。
「ミコトを傷つけたくない。ゆっくり時間をかけて、するよ。」
「あ、恥ずかしい。そんな所にキスしないで。」
「可愛い。ミコトの全部が好きだよ。」
「凪さんと、したのかと思ってた。」
「バカだなぁ。ミコトと結婚したんだよ。
他の誰も抱いたりしない。早く帰りたかった。
もう、ホストは潮時かな。」
大事な話は後回しだ。今は未知の世界に夢中なミコトだった。
慣れた手つきで身体を弄る。時々熱いくちづけ。その唇がミコトの胸を這う。
「あ、あ、はあ。そこはダメだよ。」
乳首を可愛がられて吐息が漏れる。凍夜の唇が下に降りてミコトのペニスを見つける。
「や、凍夜のも欲しい。」
お互いのいきりたったものを口で愛撫する。
凍夜がローションを出して指にまとわせる。
「痛かったらちゃんと言えよ。指入れるよ。」
一本、入った。凄い締め付けだ。指を入れながら抱きしめて、耳元で囁く。凍夜の声に導かれて、初めての扉をこじ開けられた。
ともだちにシェアしよう!