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第61話 後悔
ショーンの事はママに任せて、家に帰って来た。
凍夜は嫌な気持ちから離れられない。
(浮かれ過ぎて周りが見えてなかった。
俺の落ち度だ。人の気持ちを甘く見ていた。
こんな事になるような予感がしてたんだ。)
「ミコト、おいで。」
ミコトはソファに座る凍夜の膝に乗った。
抱きついて
「オレがいけないのかな?
幸せ過ぎて周りを見てなかった。
幸せに溺れてた。」
「それは俺だって同じだ。でも、手に入らないから殺す、って何だよ?」
キースが訪ねて来た。凍夜の北関東のタワマン。わざわざ来るのには理由があるだろう。
「キース、ショーンの容体は?」
「ああ、ちょっと腹に刺さって内臓を傷つけたみたいだが、思ったより浅かったんだよ。
それで、おまえに聞きたいんだが・・。」
キースは弁護士について、凍夜の考えを聞きに来たらしい。
「今回の事で、おまえが凪さんを罰して欲しいなら、俺は何もしないよ。
被害者はショーンなんだ。原因を作ったのがおまえでも、警察はおまえを当事者と認識していない。」
「俺は何も、関係ない事になってるのか?」
「そう、オフレコだけど、親父のコネで警察関係に情報をもらった。凍夜の名前はどこにも出て来ない。直接関係は無いようだ。」
「頼むよ、凪に一流の弁護士を付けてくれ。」
「ウチの顧問弁護士が、こういう事に慣れた弁護士を紹介してくれた。
ちょっと話したんだが、今回の事件は、過失って事で殺意は無い、と言い張る作戦だ。」
ショーンが、うっかりして果物ナイフが刺さってしまった事にするって言ってるそうだ。
殺意があるのと、無いのでは量刑がまったく違う。
「でも、凪は,
あなたを殺しに来た、ってはっきり言ったよ。
ナイフも用意したのは、彼女自身だ。」
「でも、それを聞いたのは、そばにいた数人だけだろう。ディアボラには円城寺さんが箝口令を布いたから。」
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