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第64話 ショーン

 凍夜とミコトはまだホストを続けている。事件があって、辞める機会を逃してしまった。  円城寺だけには、二人一緒に暮らしている事を話した。  凍夜は事件以来、暗い目をして無口になり、魅力が増したようだ。  キースが訪ねて来て、気になる事を言った。 「ショーンが、凪さんの家に入り浸り、だって。」 「どう言う事?」 「よくわからないよ。 彼女は今、執筆に集中している、 とショーンが言ってた。」 「ショーンは店ではそんな事、何も言わない。 全然気が付かなかった。」  キースが帰って、ミコトは凍夜に抱きついた。 「凪さんはもう凍夜のことは、割り切ったのかな。よかった。  オレ、呪いがかかったような気がしてたんだ。」  ミコトの髪に鼻を埋めて、 「全部好きだ、ミコト。 俺の弱さを知ってるのはおまえだけ。  だから安心して泣き言を言ってしまう。 ごめん。がっかりしたか?」  凍夜の頭を抱えて 「そんな凍夜もオレの大好きな凍夜だから。 オレだけに見せる顔だね。」  今夜も華やかなディアボラの夜が始まった。 ショーンがいつもの明るい調子で店に入って来た。 「おはようございます。」 凍夜が声をかけた。 「おい、ちょっと話、しようぜ。」  奥のあのゴージャスな控え室に連れて行った。 「キースから聞いたよ。凪の家に入り浸り、なんだって?」 「凍夜、ボクは本気だ。本気で凪が好き。 だから、お説教はいらないよ。」 「本当になにも心配いらないんだな。 凪はおまえを受け入れているのか?」 「うーん、受け入れてはくれない。 凪は凍夜を忘れてない。ボクはただの友達だ。 いや、友達ですらないよ。  迷惑そうだけど、顔を見たくて行ってしまう。 もちろん手も握ってない。」

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