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第67話 凍夜
(お金を稼がなくちゃ。
凍夜に会うために、お金がいる。)
死に物狂いで小説を書いた。
ディアボラに何度も通って遂に凍夜に抱かれた。
凍夜の甘いくちづけ。もう死んでしまいそう。
抱いてくれた。もう何もいらない。
思いが高じて凍夜のストーカーになった。
執着はエスカレートする。
ディアボラでも凍夜は冷たいキャラで売っている。それがたまらない。
凍夜が誰かに夢中になることなんてあるのだろうか?
誰にも本気にならないから、周りに女がたくさんいても平気だった。
凍夜は誰のものにもならないはず。
噂によると、凍夜は一度抱いた女は二度と抱かないらしい。
(じゃあ、私は特別?)
いつも同伴して、アフターにも誘って、私は何度か抱かれたのだ。部屋にも呼んだ。
きっと、私は特別なはず。
凍夜のいない夜、凍夜の眠ったベッドは、私を苦しめた。凍夜の移り香を抱いて眠る。
思いは募る。
ある夜、ディアボラで見てしまった。
奥の控え室からミコトという新人と一緒に出てくるところを。
肩を抱いて、頬にくちづけ。もう愛しくてならない、というように軽く頭を叩いて、フロアに出て来た。誰かが見てるかも知れないのに。
なんて事のない軽いエールなのだろう。
でも、もしかしたら・・
愛し合っているのかもしれない。
凍夜もゲイ、だったの?
凍夜の住まいを知らない。調べると、北関東の観光地にあるリゾートマンションだった。
(こんなに遠いところからは通えないわよね。
それで、ホテル住まいなのね。それか女の所。
他の女の所に行くのなら、私の部屋に来て欲しい。)
凍夜の乗っている車も調べた。絵に描いたような派手なスポーツカー。隣に乗せるのは誰?
黄色のその車。助手席に乗るのは私よ!
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