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第70話 いつから?
そして凍夜がミコトを嫁にしたことがわかった。
凪が納得出来ないのは、二人がいつから愛し合うようになったのか?という事だった。
凪が凍夜に夢中になったとき、既に二人は出来ていたのか?
それでも、凍夜は凪を抱いたのか?それも複数回。凪が期待して将来を夢見るようになるほど抱いてくれたのか?
ホストだから数多の女性関係がある。
けれど凪だけは特別、と錯覚してしまうほど熱いくちづけをくれたのは何故?
抱かれる度に、二人で生きる未来が見えた気がした。あれは全部幻?
何か、特別な約束をしたわけではない。結婚なんて話が出るわけもない。
それでも、抱かれると何もかも信じられる気がした。凪の勝手な思い込み。
凍夜は、その頃、一人の男が頭から離れなかった。これも今までにない事ではあった。
ホストとしては半人前、未熟なガキ、なのに何故、心に引っかかるのか?
苛立っていた。
(なんでホストなんかやってるんだ。
おまえには似合わない。)
ブン殴っても店を辞めさせたい。何故か、サディスティックな気持ちになる。
気がかりで、守ってやりたい気持ちから余計に意地悪な仕打ちをしてしまう。
ミコトは凍夜と言う先輩に、最初から嫌われていると思っていた。
「なんでオレ、目のかたきにされるんスかね。」
レオンと高任のマスターに相談した事もある。
マスターは笑って
「子供が好きな子に意地悪するような感じだな。」
レオンも笑って
「そうそう、ミコトは可愛いから。
凍夜は不器用だし、女には手が早いけど。
無口だから女が勝手に惚れちゃうんだよ。
凍夜はきっとミコトが好きなんだ。」
「それは無いと思う。」
相変わらずチェリーのミコトは、凍夜に畏敬の念をもっている。複雑なきもちだ。
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