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第71話 そして・・

 白馬の王子様は白いスーパーカーで、真っ赤なバラを抱えて迎えに来た。  咄嗟に泣きながら、 「凍夜と行く。」 と答えてしまった。  ヤマトとタケルの前で、きちんとプロポーズしてくれた。  たとえ、芝居がかったジョークだとしても、ミコトは受け入れた。凍夜はいつも唐突だ。  白い車でバラを抱えて、凍夜とミコトは、あのタワマンに帰って来た。  それを近くで車を停めて見張っていた凪は見つけた。 「何?あの花束。お客さんにもらったの? 誕生日とか?」  まさかあのヘルプの新人にプロポーズしたなんて、思いもしなかった。  凍夜はミコトにプロポーズしてからは、仕事でも誰とも付き合っていない。一途なのだ。  初めて本気になった。  遂に耐え切れなくなった凪が刃傷沙汰をおこして・・・終わった。誰もがそう思っていた。  でも凪の心の中では、まだ、何も終わっていない。  所詮、ホストなんて、情なしの、移り気の、人でなし。何か、演歌にそんな歌詞があったような・・  遊びだとわかっている。今が楽しければいい。 凪は寂しかっただけ。強がって見る。 (もう凍夜にも会えないね。 犯罪者は出入り禁止だ。)  今日も懲りずにショーンが来る。それは一つの心の支えになっているかもしれない。 「ねぇ、私の願いを叶えてくれる? 凍夜をここに連れて来て。」 「それは難しいな。 接近禁止命令が出てる。 保護司が黙ってないよ。」 「わかった、私がこっそり凍夜の家に行く。 勝手に行くわ。」 「何をするつもりだ?」 「凍夜が本当にミコトっていう子を愛しているのか、確かめたいの。  そうしたらもう二度と二人の前に現れないって約束してあげる。連れて行って。」  ショーンは、キースと凍夜に相談した。 結果、愛車のアウディQ2に凪を乗せて、凍夜の家に連れて行った。 「二人で暮らしてるの?幸せそうね。 殺したいくらい。」  凍夜はミコトを愛している。守るように肩を抱いて、凪に対峙した。  キースも飛んできて、男達を相手に凪は、一歩も引かない。啖呵を切った。 「愛し合ってるのね、凍夜。 もう犯罪は企てないから、安心して。  今度は、作文で戦うわ。さよなら。」

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