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第83話 凍夜とミコト
「ふぅーっ、疲れたな。
ミコト、俺のおふくろ、どうだった?」
帰ってきた。凍夜に優しく抱かれながら、ソファに座って話をした。
「うん、なんか凍夜がお金持ちなのがわかったよ。お母さんは俺たちの事喜んでくれたみたい。
不思議だ。理解があるって事なのかな。」
「ああ、あの人はちょっと変わってるんだよ。
社会に出た事が無いんだ。
働いた事が無い。世間知らずで。
まあ、俺もそうかもしれないけど。」
キスしながら囁くのでくすぐったい。
「ミコト、もう誰にも俺たちを引き裂く事は出来ない。愛してる。」
熱いくちづけをくれる。
「ミコトのおふくろさんに挨拶に行かなくていいのか?」
「うん、まだあの男といるみたいだから、
関わりたくない。居場所も教えたくない。」
「この際だから、二度とミコトに近寄らないように、キッチリ話をつけてこようか?」
「もういいんだ。
何かのキッカケがあると蛇のように執念深いんだ。ホントに関わりたくない。」
凍夜の母は、新居とか用意すると言ってたけど、このまま、ここで正式に暮らす事になった。管理組合に書類を提出する。コンシェルジュに挨拶に寄る。みんなに顔を覚えてもらう。
あの客間の大きなジャグジーに二人で入る。
「わあ、泡が出てる。お湯を張っただけでも広くて楽しいけど、ジャグジーも面白い!」
「ガキだなぁ。窓の外見てみろよ。
星が綺麗だよ。」
「ホントだ、空が大きい。流れ星が見えるかな?」
一面大きなガラスの窓はタワマンならではの景色だ。外から覗けるような高い建物が近くには全く無い。都会の夜景とは違って空が近い。
「この広い世界に二人だけ、みたい。」
「可愛いなぁ。」
舌を絡めるキスをした。
「凍夜ってキス魔だね。」
「ミコト限定で、な。」
お湯の中で抱き合って、バブルバスは泡塗れで、スベスベだ。凍夜に後ろから抱かれるのは、すごく安心出来る。でも凍夜の手がイタズラしてくるのがくすぐったい。気持ちよくなってしまう。
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