83 / 101

第83話 凍夜とミコト

「ふぅーっ、疲れたな。 ミコト、俺のおふくろ、どうだった?」  帰ってきた。凍夜に優しく抱かれながら、ソファに座って話をした。 「うん、なんか凍夜がお金持ちなのがわかったよ。お母さんは俺たちの事喜んでくれたみたい。 不思議だ。理解があるって事なのかな。」 「ああ、あの人はちょっと変わってるんだよ。 社会に出た事が無いんだ。  働いた事が無い。世間知らずで。 まあ、俺もそうかもしれないけど。」 キスしながら囁くのでくすぐったい。 「ミコト、もう誰にも俺たちを引き裂く事は出来ない。愛してる。」 熱いくちづけをくれる。 「ミコトのおふくろさんに挨拶に行かなくていいのか?」 「うん、まだあの男といるみたいだから、 関わりたくない。居場所も教えたくない。」 「この際だから、二度とミコトに近寄らないように、キッチリ話をつけてこようか?」 「もういいんだ。 何かのキッカケがあると蛇のように執念深いんだ。ホントに関わりたくない。」  凍夜の母は、新居とか用意すると言ってたけど、このまま、ここで正式に暮らす事になった。管理組合に書類を提出する。コンシェルジュに挨拶に寄る。みんなに顔を覚えてもらう。  あの客間の大きなジャグジーに二人で入る。 「わあ、泡が出てる。お湯を張っただけでも広くて楽しいけど、ジャグジーも面白い!」 「ガキだなぁ。窓の外見てみろよ。 星が綺麗だよ。」 「ホントだ、空が大きい。流れ星が見えるかな?」 一面大きなガラスの窓はタワマンならではの景色だ。外から覗けるような高い建物が近くには全く無い。都会の夜景とは違って空が近い。 「この広い世界に二人だけ、みたい。」 「可愛いなぁ。」 舌を絡めるキスをした。 「凍夜ってキス魔だね。」 「ミコト限定で、な。」  お湯の中で抱き合って、バブルバスは泡塗れで、スベスベだ。凍夜に後ろから抱かれるのは、すごく安心出来る。でも凍夜の手がイタズラしてくるのがくすぐったい。気持ちよくなってしまう。

ともだちにシェアしよう!