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11-5.※

 フェンはもう一本指を増やし、さらにロキの内部を柔らかくほぐした。性器を扱かれたまま内部を嬲られ、ロキは前にも後ろにも逃せない感覚にビクビクと体を震わせている。 「ロキ、脱がせていい?」  耳元に唇を寄せながら、フェンが興奮で上擦った息を漏らした。 「自分で脱ぐ」  ロキはそう言って、狭い檻の中で身を捩り下履きから足を抜くと、下半身に衣服を纏わない状態でフェンの上に跨った。  自らの衣服をずらしたフェンが後孔に性器の先端を擦り付けてくる。ロキは興奮でぐっと息を飲んだ。  フェンの手のひらに尻の皮膚を持ち上げられ、次に引き寄せられるようにゆっくりと腰を落としていくと、フェンの性器がロキの内部の皮膚を掻き分けた。 「くっ、んぅっ」  ロキはフェンの肩にしがみつき、声を押し殺した。そのせいで力が入り、フェンをきつく締め付けている。 「力抜いて? もっと奥まで入れたい」 「うんっ……あっ……」  耳たぶを甘く噛まれ、ロキは息を吐いた。  少し緩んだ孔の奥を広げるようにフェンが腰を持ち上げる。小石を踏む台車の揺れが、ロキの内部を小刻みに刺激した。  フェンはロキの中を堪能するかのように、緩やかな動きで内壁をなぞっている。その感覚がもどかしい。ロキは半ば苛立ちフェンの首に噛み付いた。 「いててっ」  フェンが情けない声を上げる。何故かそれが可愛くて、ロキは思わずその唇を喰んだ。応えるようにフェンは深い口付けを返し、二人してわざとらしい音を立てながら舌を絡めた。 「ロキ、自分で腰動いてる」 「んっ……しっ、黙れ」  お互いの耳元で囁き合うと、頭の奥で痺れた感覚が下半身に募っていく。  自分の中を満たしている熱が、心地よくて仕方なかった。激しく突き上げるでもなく緩やかな刺激が、むず痒い感覚を積み上げていて、いつしかロキは強く求めるように内部のフェンを締め付けていた。 「ぁっ……んっ……」  ロキは堪えきれない吐息をフェンの肩に押し付けた。  フェンはロキの頭に鼻を押し当て、匂いを嗅ぐように息を吸い込むと、体を強く抱き寄せた。 「んっぅっ!」  急に突き上げられ、こぼれそうになったロキの声を、フェンの唇が塞いだ。  悪路に差し掛かったのか台車の揺れが激しくなり、同時にフェンに揺さぶられ、突き上げられた結合部は体液と皮膚が擦れてぐちぐちと水音を鳴らしている。 「ふっ……んぅっ……!」  絶頂まで込み上げた感覚がロキの背中を駆け巡り、嬌声をあげる代わりに、ロキはぐっと息を止めた。ビクビクと内壁が震え、フェンがその刺激で眉を寄せている。咄嗟に腰を持ち上げられて引き抜かれたその感覚で、ロキの先端から白濁が溢れ出し、同時に射精したフェンのものと混ざり合った。  フェンの貫頭衣はそれらを受け止めぐっしょりと汚れてしまったが、ロキはそれを気に留める余裕すらなくフェンの肩に崩れ落ちた。  幸い、弾んだ二人の呼吸は、ぶつぶつと続いていた青白い顔の男の独り言と、車輪の音に紛れていた。

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