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17-6.※

 男たちは暴れるロキを抑えるように、腕や脚を掴んだ。 「なんだよ! どうした急に?」 「今まで良さそうにしてただろ?」 ――ワフォーンオンオン 「はなせっ! はなせっ、くそっ!」  朦朧として自由が効かない体は、二人の男の手によって簡単に押さえ込まれてしまう。それでもロキはなおも抵抗を続けた。 「おい、大人しくしろって」 「うぁっ!」  強く腕の火傷を掴まれ、ロキは呻いた。 「あーくそっ、人間って力加減が難しいな」 「もういい、突っ込んじまえば大人しくなるだろ」  そう言って、正面の男が再びロキの脚を抱え上げる。 「イヤ、イヤだ……やめろっ!」  押し当てられた先端が、ロキの入り口のヒダを掻き分けた。ロキは不快感に顔を背け、強く目を瞑る。 「……っぐえっ!」  身構えた挿入感はなく、代わりに正面にあった男の体温が遠のき、大きな物音がした。ロキは恐る恐る目を開ける。 「もういい、冷めた」  いつの間にかオーディンがそこに立っていた。男の襟首を掴み背後に体を投げ捨てたようだ。 「な、なんだよ……!」  突然行為を阻まれて、男たちは怪訝な顔をオーディンに向けた。 「つまらん、ちっとも楽しくない」  オーディンは言葉の通り、心底つまらなそうに息を吐いた。 「は?」 「なんだよ、おまえが呼んだんだろ」  男たちはそう言い募ったが、オーディンが睨むように左眼を細めると、言葉を飲んで押し黙った。 「もういい、出てけ」  オーディンが手を払うような仕草をすると、男たちはやや納得いかない表情を浮かべながらも、のそのそと立ち上がり、部屋を出て行った。  体を解放されたロキは、慌てて乱された衣服を手繰り寄せた。しかしまだ上手く体が動かない。呼吸は荒く、昂ったままの下半身を隠すかのように、床に疼くまった。 「おい、チビ」 「ま、待ってくれ……今、出てくから」 「いい、おまえはここにいろ」 「えっ」  ロキが顔を上げたのと、オーディンがロキの前髪を掴み上げたのは同時だった。 「俺を楽しませろと言っただろ? 急に怖気付きやがって、黙って脚を開いて善がっていればいいものを」  オーディンの物言いに、ロキは喉を詰まらせた。  今もなお、抗いきれない本能に責め立てられ、まるで自分が自分ではなくなっていくようだ。それはオーディンが言うように、まさに獣のようだと思う。そんなオメガの性を、ロキはこの時強く嫌悪していた。 「まあいい、おまえにチャンスをやる」  そう言うと、オーディンはロキの前髪を乱暴に離し、ベッド縁に腰を下ろした。 「俺をその気にさせてみろ」  そう言って、オーディンはロキに向かって顎をしゃくる。  ロキは荒い呼吸で肩を揺らしながら、オーディンの姿を見上げた。オーディンの指示が何を意味するのか、見当はつく。  釈然としない。屈辱的な感情と、本能に身を任せることへの嫌悪が脳内を交錯する。  しかし、ロキはそれらを全部振り払った。自分を押し殺してでも、成し遂げたい目的があるからだ。  オーディンの足元に這うようにしてロキは近づいた。その衣服に手を伸ばす。確認するようにオーディンの表情を伺ったが、ロキの行動を咎める様子はないので、やはりオーディンが求めているのはこれなのだとロキは思った。  ゆっくりと下履きを引き下げると、興奮を見せずしなだれたままのオーディンの性器が顕になる。  ゆっくりと握り恐る恐る扱くと、オーディンの性器は僅かに熱を灯した。しかしまだ快感には程遠いのか、頭上からオーディンのあくびが聞こえる。 「おい、チビ、やる気あるのか」  オーディンはそう言って、ロキの顎に手を伸ばした。頬を掴んで顔を持ち上げると、親指を強引に口の中に押し込んでくる。 「萎えさせるなよ、こんなんじゃおまえの中に挿入れられないだろうが」 「あがっ」  舌を摘まれ、ロキは呻いた。  口の端から唾液がこぼれ落ちる。反対の手を頭の後ろに回され、引き寄せられ、ロキはオーディンの股の間に顔を寄せた。

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