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20-2.※

 「じゃあ行こうか」と歩き始めたロキの腰を立ち上がったオーディンが抱え込む。長身のオーディンの黒髪がロキの肩に降り注いだ。 「バルドル、後にしろ」 「えっ? まあ、俺は構わないが……トールの方はどうするんだ?」 「適当に言っておけ」 「適当にって、また仕事サボってお小言言われるんじゃないか?」  バルドルはやれやれと笑いながら頭を掻いている。  オーディンは、フンと息を漏らして笑いながら、ロキの体を抱き上げた。 「こっちも仕事だ」  そう言って濃紺の衣と漆黒の髪を翻し、オーディンは神殿内へと抱えたロキを連れ込んだ。 「んっ……ぁぁっ……!」  熱棒が内壁を掻き分け、ロキは甘い吐息を漏らした。  背中は柔らかな枕とシーツに埋まり、覆い被さったオーディンの腕がロキの体を抱え込んでいる。緩やかな動きが心地よく、意識が微睡んでいく。  降り注いだ黒髪を指に絡めて弄んでいたら、「余裕だな?」とオーディンが深いキスを落とした。 「バルドルに何を見せようとした?」  唇を離し、オーディンが言った。薄いブルーの双眸は今にもまつ毛が触れてしまいそうなほど近くに寄せられている。 「ああ、器を作ったから……んっ、ぁっ……新しいのを……」 「そうか……」  オーディンの瞳が翳り、ロキの胸元に埋まっていく。肩に腕を回され引き寄せられるように、内部を突き上げられ、ロキは枕を握りしめた。  求めるように勝手に腰が浮かび上がり、内壁はさらに奥にオーディンを受け入れようと収縮しながら結合部で蜜を漏らしていた。 「今度は何を作った、蛇に歩けない女……ときたら、次は何だ?」 「はっ、ぁっん……気なるのか? 君もみにくる?」 「いや……どうせまた、お前を落胆させるようなことしか言えない」  オーディンの言葉を聞いて、ロキは息を漏らすように小さく笑った。 「今度みんなで食事でもしてみる? 仲良くなるには寝食を共にするのが一番いいと思うんだよね」 「仲良くなって欲しいのか……?」  またオーディンの言葉にロキは笑った。 「いや、別に」  ロキがそう応えると、少し安心したように、オーディンがロキの胸元で息を吐いた。 「気にしなくていいよオーディン」 「あ?」 「君が愛せないぶん、俺があの子達を愛してるから」  オーディンは何も言わぬまま、ロキの胸元の突起を口に含んだ。 「んっ……ぁぁっ……多分君はそういうふうにできてるんだ」  ロキが言うと、オーディンは腰の動きを止め、顔を上げた。 「そういうふう?」 「うん、あの子達を愛せないようにできてる。愛したら、辛いから」 オーディンはロキの言葉に物憂げにまつ毛を伏せた。

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