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6.
「お母様の気の済むまでだから、いつになるかなぁ」
「えー、まーははやくしたい!」
「おかーさま、たかいたかいすきなの?」
「好き、というわけでは⋯⋯」
「お父様にいたいいたいしてもらうのが好きなんだよ。だから、嘘を吐いてまでお父様にこうされているんだ」
「⋯⋯ちょっと、何を言っているの!」
「そーなの?」
「いたいいたいはやだけど、あーもたかいたかいはすき!」
「まーも!」
だから、早くしてと二人は騒いでいた。
子ども達のためならば早くしたいところだが、それは碧人に嘘を吐いていたことを認め、お仕置きを受けるということだ。
汚したことや嘘を吐いたことも加担し、倍にされることだろう。
その時に与えられる快楽を認めてしまうのが悔しく思う。
しかし、最優先すべきことを考えると、認めざるを得ない。
「⋯⋯認める。⋯⋯碧人さんに、お⋯⋯仕置きをしてもらいたかったの。嘘を吐いてごめんなさい。だから、下ろして」
子ども達の前でお仕置きなんて言葉を聞かせたくなくて、その部分だけ小声で言った。
誤魔化していると、言われやしないかと冷や汗が背中に伝った。
「いいよ」
しかし、予想とは裏腹に素直に下ろしてくれた。
きっと、呆気に取られたような顔をしていたのだろう、「どうしたの」と首を傾げた。
「もっとして欲しいの? ⋯⋯お仕置きは、子ども達のも含めて倍にしてあげるのに」
「⋯⋯え?」
「ねー、おとーさま、たかいたかいして!」
にっこりと笑う夫から予想だにしないことが告げられて、我が耳を疑っている最中、割って入るように待ってましたと新がせがんできたことにより、碧人は新と真の相手をしていた。
お仕置き、いつも以上のことをされるの?
やっとたかいたかいしてもらって、楽しそうにしている二人のことを見ている余裕がない葵は、また汚れることを気にしていることなくその場に膝を着いていた。
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