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「お母様のだから、いつになるかなぁ」 「えー、まーははやくしたい!」 「おかーさま、たかいたかいすきなの?」 「好き、というわけでは⋯⋯」 「お父様にいたいいたいしてもらうのが好きなんだよ。だから、嘘を吐いてまでお父様にこうされているんだ」 「⋯⋯ちょっと、何を言っているの!」 「そーなの?」 「いたいいたいはやだけど、あーもたかいたかいはすき!」 「まーも!」 だから、早くしてと二人は騒いでいた。 子ども達のためならば早くしたいところだが、それは碧人に嘘を吐いていたことを認め、お仕置きを受けるということだ。 汚したことや嘘を吐いたことも加担し、倍にされることだろう。 その時に与えられる快楽を認めてしまうのが悔しく思う。 しかし、最優先すべきことを考えると、認めざるを得ない。 「⋯⋯認める。⋯⋯碧人さんに、お⋯⋯仕置きをしてもらいたかったの。嘘を吐いてごめんなさい。だから、下ろして」 子ども達の前でお仕置きなんて言葉を聞かせたくなくて、その部分だけ小声で言った。 誤魔化していると、言われやしないかと冷や汗が背中に伝った。 「いいよ」 しかし、予想とは裏腹に素直に下ろしてくれた。 きっと、呆気に取られたような顔をしていたのだろう、「どうしたの」と首を傾げた。 「もっとして欲しいの? ⋯⋯お仕置きは、子ども達のも含めて倍にしてあげるのに」 「⋯⋯え?」 「ねー、おとーさま、たかいたかいして!」 にっこりと笑う夫から予想だにしないことが告げられて、我が耳を疑っている最中、割って入るように待ってましたと新がせがんできたことにより、碧人は新と真の相手をしていた。 お仕置き、いつも以上のことをされるの? やっとたかいたかいしてもらって、楽しそうにしている二人のことを見ている余裕がない葵は、また汚れることを気にしていることなくその場に膝を着いていた。

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