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7.
二人の気が済んだ後、使用人がタオルでそれぞれ足を拭いてもらっている時のこと。
二人が「おかーさまがいい!」とくすぐったそうに、されどこちらに駆け寄ってきそうにいやいやをしているものだから、仕方ない代わってあげようとそちらに歩み寄ろうとした時。
抱き寄せていた腕にぐっと力が入ったかと思うと、そのまま横抱きをしてきた。
また一瞬何が起きたのかと思ったが、夫の顔が近くなったことではっとした。
「急にしないでって、さっきも言った──」
「足を拭いてあげようと思ったんだけどね。そうだよね、急にするのは悪いことだよね」
「あ、ひ⋯⋯っ」
縁側に座った碧人が受け取ったらしいタオルで足の裏を拭いてきた。
それも急なことで、変な声が漏れそうになる。
「本当にやめて!」
「僕に反抗的な態度をするんだ? でも、その分お仕置きをいっぱいしたいっていうなら大歓迎だよ。僕は葵のことを可愛がる機会が増えて嬉しいし」
「ちょ⋯⋯っ、いや⋯⋯っ」
再度足裏を拭き、けれども、それは汚れを拭いているからではなく、当たるか当たらないかといぅ絶妙な加減でタオルで触れ、そのタオルの柔らかさがよりくすぐったく、そして、むずむずとして、碧人の腕の中で暴れた。
しかし、実際は腰をがっしりと掴まれ、足をバタつかせることが精一杯であった。
「ほら、そんなにも暴れて。汗もこんなにもかいているじゃないか。風邪を引くかもしれないから浴衣を脱ごうか」
「⋯⋯やっ、や⋯⋯っ!」
合わせに手をかける。
こんなところで脱ぐわけには。
慌ててその手を制止しようとした時、足裏にさわさわとした感覚がし、ビクっとした。
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