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「え、なに⋯⋯」 どうしたの、と碧人の声を横で聞きながら、目線はそちらに向ける、と。 使用人の手から逃れてきたらしい、新と真が葵人のそれぞれの足裏に触っていたのだ。 先ほどのタオルとはまた違うくすぐったさに身じろぎしてしまう。 「こちょこちょ〜」 「おかーさま、くちゅくったい?」 舌っ足らずに言っては、さっきの泣きそうな顔たちと一変して無邪気に笑う二人に、「やめて」とくすぐったさもあって、本気でそう言っているわけではないため、二人からすれば楽しそうに笑っているように見えたのだろう。きゃっきゃと二人も楽しげに笑ってはその手を止めない。 「葵、さっき僕がしたよりも楽しそうにしているじゃないか」 「そっ、そんなことはないよ⋯⋯っ」 「⋯⋯お仕置きのつもりでもやっていたけど、いつもしているよりも葵にとっては物足りないからかな。それとも、二人の方が大好きだから楽しそうなの⋯⋯?」 「それは、あは⋯⋯ん⋯⋯っ」 「じゃあ⋯⋯新と真。お母さまは大好きな二人にやってもらいたいみたいだから、いっぱいしてあげて」 「ほんとー?」 「じゃあ、いっぱいこちょこちょするー!」 「まっ、まっ、て⋯⋯ふふ、はは⋯⋯っ」 制止を振り払うように二人は両手を使ってまでくすぐってくる。 足は自由であるからその手から逃れることはできる。だが、そうしてしまうと二人が可哀想であるため、二人が満足するまでそうしてあげるしかなかった。 しかし、そうすると碧人からすると気に食わない状況であるため、あまりよろしくない。 じゃあ、どうすればいいの。 上手い回避が思いつかない葵人は、そのまま二人のしたいようにしてあげるしか方法がなかった。

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