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12.
「⋯⋯できました」
「さすが、二人のことを普段着付けてあげているから手際がいいね」
ありがとう、と言って、その場をゆっくりと回ってみせる。
碧人が自ら脱いだ時から思っていたことだが、破瓜の儀式をしてこのような身体になってから、昔から感じていた夫との身体の格差をひしひし感じていた。
それが今。葵人の着物を着たことでそれが最も顕著に現れてしまった。
「おとーさま、かわいい〜!」
「あーとおそろい!」
「ふふ、ありがとう」
きゃっきゃと一緒になってはしゃいでいた夫が不意にこちらを見てきては、首を傾げた。
「葵、どう?」
「どう、って⋯⋯」
見せつけるように両手を上げる碧人のことを上から下へと見た。
呪いにより、それ以降近親者同士でしか子孫を残せなくなった桜屋敷家の者は、そのこともあってどうしても顔立ちが自分にも見えてしまう。
しかし、前述述べたように体格差があるため、葵人の着物を碧人が着ると袖も裾も短く、みっともなく感じる。
その部分を見てしまうと、ちょっとおかしい。
「⋯⋯葵、急に笑ってどうしたの」
「あ⋯⋯ごめんなさい。碧人さんと比べると僕って小さいから、その⋯⋯裾がつんつるてん、みたいな感じになっているなって⋯⋯」
「⋯⋯ふぅん、そう、か⋯⋯」
笑みを深める。
葵人から見るとそれは不適な笑みのように思えて、気が気でなかった。
そして、それが碧人がこちらへと歩み寄ってきたことで確かなものへと変わりつつあった。
「あ、お⋯⋯っ」
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