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19.

長く楽しい食事が終わり、仕事があるからと碧人と別れ、新と真と共に寝ていた部屋へ戻ってきた。 二人に何して遊ぼうかと訊こうとした時だった。 「「すわってー!」」 「はい?」 「おかーさま!」 「すわってっ!」 揃って、言うことを聞いてとその場で地団駄を踏むようなことをする二人に押されて、困惑しながらもその場に座った。 すると、二人は葵人の膝にそれぞれ座ってきた。 なるほど、さっきのことがしたかったのか。 納得し、ご機嫌そうな二人のことを抱きかかえた。 「さて、何しましょうか」 「おうた!」 「かえるのうた、うたってー!」 「はいはい」 珍しく意見が合う二人の要望に答えて一緒に歌った。 それから次から次へと要望を上げる二人に何とか答えてあげて、そろそろ違うことに興味を逸らせようかと、「絵本を読みましょうか」と提案する。 「えほん、えほんねー⋯⋯じゃあ、あれよんで!」 「はい、いいです、けど⋯⋯?」 新が意気揚々とその小さな指を思いっきり指差す。 いつもならば、我先にと絵本が並んでいる本棚へと行ってはそれを抱えて戻ってくるのに、「あれあれ!」と指差すだけで一向にそうしない。 真も同じようにするだけで膝から動こうとしない二人に、「取りに行かないのですか?」と問いかけると、 「おひざからおりたくないもん!」 「まーもやだぁ〜」 何故か楽しそうにきゃっきゃ笑う二人に、「そうですか⋯⋯」としか返せなかった。 「絵本は読みたいのですよね?」 「よみたい!」 「取りに行って貰わないと読めないのですけど⋯⋯」 「じゃあ、おかーさまがとって!」 「え?」 無邪気に言う真の言葉に目を丸くした。

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