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新用の小さな布団に二人並んで穏やかに寝ている。 いつもより早く起きたからさすがに疲れたのだろう、追いかけっこしていた二人は「つかれたー」とその場に座り込んだかと思うと、こてんと横になったのだ。 その急なことに何が起きたのかと思っていたが、「忙しい子達」とくすりと笑い、こうして寝かせた。 寝る時、葵人を真ん中に左右にそれぞれ寝る形にしているため、今のように一つの布団で並んで寝ることはまずない。 自分が使っている布団よりもだいぶ小さい。そんな当たり前なことだが、小さいというだけで無条件に可愛く思えてしまう。 起きた時、二人がどう思うかは分からないが、このままにしておきたい。 あともう一つ、可愛いと思ったことがあった。 それは絵本を先に読んで欲しいのに後回しにされた真が怒った時のこと。 「⋯⋯今なら、何しても言われないよね?」 辺りを見回すという意味のない確認をした後、黒い手袋で包まれた指先で、ちょうど真側にいたこともあり、その無防備な頬に触れる。 「〜〜〜っ」 声にならない声を上げそうになった。 いわばマシュマロのようなぷにぷにとしたほっぺたであり、自分には失われてしまった柔らかさだった。 怒った時、頬を膨らませて強調させたり、こうして何もしてなくてもぷっくりと膨らんでいたりと、この思わず触りたくなるような頬は一体なんなのか。 ずっと突っついていたい! 真の睡眠を妨害してしまう迷惑さを顧みず、葵人は夢中になって突っついていた。 朝の追いかけっこですでに疲れていたのはどこへやら、すごく癒されてしまう。 と、調子に乗っていたせいなのか、何かと勘違いしてか、突っついている指の方向に顔を向けた真が、引き寄せられたように葵人の指を口に含んだ。

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