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31.
「ん⋯⋯っ、はぁ⋯⋯あッ!」
その可能性が突然訪れた。
突然何をしたかは最初のうち分からなかったが、ようやく出したかったものが出せたことから一気に引き抜いたのだと理解した。
「ただ栓を抜いただけなのに、声を出しちゃうぐらい気持ちよかった?」
「⋯⋯は⋯⋯うそ⋯⋯、うそ⋯⋯」
「嘘? 僕は葵みたいに嘘を吐かないよ。それよりも、そんなにも声を上げたら子ども達が起きちゃうんじゃない?」
そう言われて、ぼんやりと碧人の背後を見た。
静かに寝息を立てていた二人は左右に首を緩く振り、何かを探しているような仕草をしていた。
それが寝ぼけて手なんか動かしていたら、隣に当たってしまい、それがきっかけで起きてしまうかもしれない。
可愛いと思って迂闊に並んで寝かせるんじゃなかった。
そもそも、碧人がお仕置きだと言ってこのような場所で罰を与えられるとは予想もしなかった。
やや離れているとはいえ、今のように葵人が声を上げた時も起こす可能性もある。が、今も悪戯に剥き出しの玉袋を弄んで葵人の反応を伺っているのだから、酷いと思った。
碧人からすれば葵人がしたことの方が酷いと思うが、それでも。
「ああ、そういえば、まだ自分の身長を見ていなかったよね。見ようか」
「ん⋯⋯っ、い、ま⋯⋯ぁ?」
「⋯⋯葵は見たくないって?」
穏やかな表情から一変、無に近い表情が迫る。
何故、今という疑問の意味で言葉が零れたが、碧人がそういう意味として捉えたとしても、彼の言うことには素直に返事をしないといけない。
どうしてそんなことを言ってしまったのか。
つい、そんな言葉を無意識に言ってしまった自分を責めた。
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