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第2話 出会い

 秀平が初めてほのかな恋心を意識したのは小四の時、いつもデニムの短パンをはいていた可愛い子のスラリとした太ももにドキドキしたのが最初だ。  その子を見かけた事はあったが、小学校は別で、一緒に遊んだ事は無かった。  だから、話しをしたのも、その日が初めてだった。  その日、自宅を兼ねている駄菓子屋からくすねたお菓子を食べようと公園に行くと、ネコ型ロボットが活躍するマンガに出てくるイジメッ子にそっくりな二人組が、その女の子をからかっていた。 「やーい、変なカッコして踊る変なヤツめ。ハッハッハッ!」 「うるさい! 好きでやってるんじゃないやい!」  事情はわからなかったが、秀平は取り敢えず止めに入った。 「やめなよ。その子、泣いてるじゃない」 「何だあ? 違う学校のヤツだな。口出しすんなよ。コイツはな、バレエなんかやってんだぞ」 「バレエ? いいじゃない。ボクは体操やってるよ」 「うるさいヤツだな。こうしてやる!」  デカイ方が殴りかかってきたので、秀平はわざわざバク転でよけた。  それを見ただけで、小さい方は戦意を喪失してくれた。 「コイツ、何だかスゴイぞ。ケンカしないほうがいいよ」  しかし、デカイ方は更に追いかけて来たので、秀平は素早くジャングルジムによじ登ると、そこから飛び降りて胸に飛び蹴りを食らわした。  デカイ方は、見事にゴロンと転がった。 「チクショー、おぼえてろよー!」  イジメッ子らしい捨てゼリフを残して二人は逃げて行く。  秀平は女の子に声を掛けた。 「大丈夫?」  感謝されると思いきや、思わぬ言葉が返ってきた。 「ウッセー! あんなヤツら、オレ一人でやっつけたのに」  口の悪さに驚いたが、泣いていては説得力の欠片も無い。  だが、秀平は女の子のつぶらな瞳と白い太ももに心を奪われた。 「ねえ。お菓子があるんだけど、一緒に食べない?」 「お菓子? いいけど」  女の子は、ようやく泣き止んだ。  それから二人は、時々この公園で遊ぶようになる。放課後に行けば、何回かに一回は会うことができた。  秀平はせっせとお菓子を運んだ。その子の喜ぶ顔が嬉しかったからだ。  ところが半年後、思わぬ事態が起きる。公園が取り壊されてしまったのだ。  幼い二人に、もしものために連絡先を交換しておくという知恵は無かった。  待ち合わせの場所を失った二人が、一緒に遊ぶことはもうなかった。  秀平がその子と意外な形で再会するのは四年後、中学二年のことである。

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