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第25話 狂宴
実際、聖は逃げなかった。
逃げなければとは思ったが、肉欲がそれを許さなかった。
勃起が収まらない。シコって射精すれば済むといった類のものではない。
あの黒い凶器で掻き回してもらわないと疼きは止まらないと、聖の身体は理解していた。
男がバスルームから出てきた。
入れ替わりで、聖は逃げ込むようにバスルームへ入る。
寒々しい程だだっ広いバスルームの片隅で、一人でシャワーを浴びた。
浅ましいほど真っ赤に勃起した性器は、ソープを軽く泡立てただけで射精寸前になり、何度も洗うのを中断しなければならなかった。
——秀平……許して。オレの中に淫魔がいる……。
鏡に写った自分は、呆れるほどメスの顔をしていた。
綿菓子かと思うほどフワフワのバスローブを着てバスルームを出ると、唯人はさっきと同じふんぞり返った姿勢でソファーに座っていた。
ただ、バスローブの前を開き、雄々しく天を突き上げる黒い性器を聖に見せつけるかのように剥き出しにして、ニヤニヤと笑っている。
もう意志とは無関係に、身体がソレに引き寄せられた。
再び唯人の両脚の間に身体を入れてひざまずき、夢中で黒の魔道具に頬ずりする。
「ああ、秀平……秀平だけが好きなのに、身体が勝手に……」
この期に及んで完落ちしない聖に、唯人は自信ありげに言い放った。
「いいじゃない、その気高さ。だが、俺の黒チンポに、どこまであらがえるかな」
聖はソレから頬を離すと、神聖な刀を磨くかのように、細い指で丁寧に上下にシゴく。
シゴきながら、唯人の乳首を舐める二点攻めだ。
唯人は大きく息を吸う。
「はあぁ……何でだ? 何で聖は男なのに、そんなに甘いイイ匂いがするんだ?」
返事をせず、聖は唯人の乳首を左右交互に舐め続ける。
「ああ……とってもいいよ。でも、そろそろ聖の全てが見たい。立ってくれ」
命じられるがままに聖は立ち上がる。
そして、バスローブがハラリと床に落ちた。
降り積もったばかりの雪のように白い肌が露わになる。
唯人は眼球を剥き出しにして、聖の全身を舐め回すように見た。
聖は前を隠してうつむく。
「そんなに見ないで……恥ずかしい……」
「信じられない……何て美しさだ。今まで抱いた、どんな美女も霞んでしまう。それにその反応。最近ヤリマンで羞恥の欠片もない女しか相手してないんで、たまんない反応だよ……さあ、その手をどけてごらん」
恥じらいと罪悪感、そして期待と興奮。
それらの感情が入り混じり、聖は性器を隠していた手をソロリソロリと開く。
赤椿のように真っ赤に染まったソレは、雪の上に滴り落ちた血のように見えた。
唯人の熱い視線に反応し、ビクンビクンと脈打つ度に跳ね上がる。
「ああ、恥ずかしい……お願い、見ないで」
唯人は人差指の先で、まるで子ネコのあごをくすぐるように、聖のカリ首の裏を優しくくすぐる。
「ウウッ……」
唇を噛んで聖は耐えた。
「誰かにココを触られるのは初めて?」
「……は、初めて……です」
「そうか、全部俺が最初なんだね。ほら、秀平に謝らないと。他の男とエロいことやってますって」
「ごめんなさい……ごめんなさい、秀平」
「ははは。しおらしく涙を流しても、尿道からこんだけ浅ましいガマン汁を垂らしていたんじゃあ、全く詫びになってないよね」
男の指先が裏スジから亀頭へ、そして玉袋から再び亀頭へと、まるでギターを演奏するような繊細さで這い回る。
聖は身をよじらせながら、悲鳴に近い喘ぎ声を上げた。
「あ……あ……ああん! も……もう、イキそ……」
聖が身を震わすと分身は激しく跳ね上り、ペシッと下腹を打った。
だが次の瞬間、唯人は指先を離す。
愕然とする聖。絶望にも似た眼差しで唯人に訴える。
「そんな……ヒドいですぅ」
「ヒドくないだろ。先日、俺のこと何て言ったっけ?」
「……変態……です」
「その変態にチンポとかタマとかイジられて歓んでいる聖は何だ?」
「ううっ……ド変態です」
「そんなに泣くなよ。ますますイジメたくなる」
「ううっ……」
「だから泣くなって。それより、チンポよりイジってほしいとこがあるだろ」
「ううっ……このド変態の……お尻の穴をイジってください」
「ハハハ。よし、よく言えたな。じゃあ、そのケツの穴をこっちに向けるんだ」
聖は羞恥に顔を赤くし、それでも肉欲に抗えずに男に背を向ける。
そして身体を少し前に倒し、両手を後ろに回して尻たぶを左右に開く。
唯人の目の前に菊の門が現れた。
「おおう……美少年というのは、ケツの穴まで美しいのか」
指先で菊の門に円を描くようになぞる。
「アアン!」
自分の声の大きさに驚き、聖は慌てて両手で口を塞いだ。
手を離したことで尻たぶが閉じ、唯人はお仕置きとばかりに聖の尻をパシッと叩いた。
「アアン!」
再び歓びの声を上げる聖。
だが、その反応に気をよくした男の攻めは厳しさを増す。
「ダメじゃないか、ケツの穴を隠しちゃ」
そう言いながら、お尻を叩き続ける。
叩かれるたびに、聖は悲鳴を上げた。
「アアン! ごめんなさい! ヒイ! 許して! アア! 感じちゃう!」
「このマゾ豚め、ケツの穴を開けと言ってるだろ」
尻全体が桜色に染まったころ、聖はようやく尻たぶを左右に開いて菊の門を露にする姿勢に戻る。
唯人は、片手で蟻の門渡りを優しくなぞり、もう片方の手で竿をフワッと握るソフトな攻撃に切り替えた。
この辺の緩急の切り替えの巧妙さが唯人の真骨頂だ。
「うわぁ!」
釣られて暴れる魚のように、唯人の手の中で聖のモノがビチビチと激しく跳ね回る。
それを器用にシゴキながら、唯人はついにアナル舐めに転じた。
「あああっ!」
身体が溶けてしまいそうな快感に、聖は尻に手を回して前傾する不自然な体制が取れなくなり、両手を前に着いてしまう。
しかし、そのせいで肛門は更に大きく開いた。
唯人の舌が奥へ奥へと侵入する。
「オッオッオッ……」
固く無機質なマドラーとはまるで違う、柔軟で温かい舌がもたらす快感は、聖から最後の品性をむしり取る。
美しく、少し勝ち気だったその顔からは、今や気高さの欠片すら失われていた。
突然、唯人の舌が肛門から抜かれる。
「あぁぁ……」
落胆する聖。
「がっかりするなって、お楽しみはこれからさ。ケツの穴を開いたまま待ってろよ」
唯人は、準備していたローションを右手の人差指にタップリ塗り、聖の肛門にも塗りたくった。
「アアン!」
情けない体勢で歓ぶ聖。
カウパー粘液が先端から滴り、絨毯にシミを作っている。
「入れるぞ。痛かったら言えよ」
「お願いです。早く入れてくだ……」
ゆっくりと挿入していく。
「……あ……あ……おゥ! おゥ! おゥ!」
聖は、まるでオットセイのような鳴き声を上げた。
「ケツ穴スゲェ! 絶世の美少年がメス豚同然だ。オラ、こっち来てアヘ顔拝ませろや」
肛門に指を入れられたまま、聖はソファーまでヨロヨロと歩かされる。そして、M字に開脚した状態で座らされた。
全てが剥き出しとなり、隠すものは何もない。
「ああッ……恥ずかしくて死にそう」
「何が死にそうだ。俺の指を食い千切らんばかりに締め付けておいて。オラ、ここがいいんだろ? オラオラ!」
唯人は、人差指を中で乱暴に掻き回した。
「ヒィーッ! 壊れちゃうー! 乱暴に……もっと乱暴にして!」
「とうとう本性を出したな、淫乱ビッチめ! オマエみたいな奴は、こうしてやる! こうしてやる!」
唯人はもう片方の手で、聖の性器をデコピンの要領でピシピシと何度も弾く。
「イヤッー! そんなにしないでぇ、出ちゃうよお」
当然だが、そんな訴えで唯人は攻撃の手を緩めない。
「トゥ! トゥ! トゥ!」
聖のソレは、びっくり箱から飛び出してきたバネ付きの人形のように激しく暴れた。
そして突然、聖が真顔になる。
「……あ、イッちゃう」
だが、その瞬間、唯人は弾くのをやめ、肛門からも指を引き抜いた。
M字開脚の恥ずかしい体勢のまま、聖は絶望の涙を流す。
「ひ……ひどいですぅ」
「ひどい? そんなことないと思うぞ。俺はね、変態かもしれんが、同意無しで無理矢理ヤルような鬼畜ではない。これからどうしたいのかは聖が決めるんだ」
そして立ち上がると、怒張し過ぎてテカテカに輝く黒い凶器を見せつけるように仁王立になる。
聖は、唯人の足もとにすがるように土下座すると、涙ながらに訴えた。
「何でもします……何でもしますから、どうかその黒チンポで……オレをメチャクチャにしてください」
「よし、よく言えたな。お望み通り、メチャクチャにしてやる。その前に、ガマン汁にまみれたこの黒チンポ、舐めてキレイにしてもらおうか」
「はい……唯人さま」
聖は、もう何のためらいもなく、唯人の黒の魔道具に舌を這わせた。
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