2 / 11
第2話
エドガーの寝室に足を踏み入れると、まず目に入るのはゆったりとした応接スペース、その奥にはキングサイズの天蓋付きベッドが豪華に佇んでいる。
応接スペースには3人並んで座れる椅子があり、そこにエドガーとルシアンが腰掛けていた。ルシアンは今日1日の出来事を報告している。
これは子供の頃から続く夜の日課であり、成人を迎える今でも変わらず続いていた。
エドガーはルシアンの貴重な時間を奪っていると心苦しく思う反面、彼のそばにいたいという乙女心が胸を締め付ける。
「いっそ、メチャクチャに抱いてくれたら諦められるなかしら?ダメよ、あの子にこんなおじさんを抱かせるなんて」と心の中で悶々とする。
「今日も色々あったんだね」とエドガーは微笑んだ。
「はい。エドガー様に朝にも会えて嬉しかったです」とルシアンが答える。
「可愛い!」と心の中で絶叫するエドガー。しかし、表情には出さずに言葉を続けた。
「パーティーを開こうと思うんだ」
「パーティーですか?」
ルシアンは少し驚いた様子で問い返す。
「成人を迎える、お披露目会ってところだ」
「俺の、ですか?」
「そうだよ。主役はルシアンだ」
エドガーは優しく微笑んだ。ルシアンは控えめに、しかしどこか誇らしげに笑った。
「ありがとうございます」
「パーティー用の服を仕立てよう。そうだ、ダンス。パーティーにはつきものだ」
「ダンスですか。ダンスはしたことないので…自信ありません」とルシアンは不安そうに言った。
「もちろん一流の講師をつけよう」
すると、ルシアンはエドガーの手を握りしめた。
「エドガー様が教えてください」
エドガーは自分の手を握るルシアンの大きくて逞しい手に興奮し、心臓が跳ねるのを感じた。
この大きく、分厚き手で、身体中を弄られたら。想像するれば、ジワリ…と股間が熱を持つ。
「わ、私がかい」声が上ずる。
「ダンス、本当に自信がなくて。知らない人から習うのは恥ずかしいーーだめですか?」
ルシアンの熱い眼差しに、エドガーは「え?キス!?」と勘違いし、目を閉じた。
「エドガー様?」とルシアンが不思議そうに声をかける。
エドガーはキス待ちした自分を恥じ、咳払いをして「わかったよ」と了承した。
「ありがとうございます。嬉しいです」ルシアンは笑顔で答えた。
「エドガー様ともっと一緒にいれるなんて夢みたいです」
エドガーは紳士的に手をほどき、さりげなく立ち、背を向けて少し距離を取った。
「ダンスの練習は明日からにしよう。時間と場所は追って伝える」
ともだちにシェアしよう!