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22. 二人での食事 ②

「ここ、俺の知り合いがやってるレストラン。アルファやオメガのお客さんも多いんだ」  カランカランと音を立てて、扉を開く。 「いらっしゃいませー。……あ、紅音か。それに蒼人くん、久しぶりだね」  中から出てきた人は、紅音さんと蒼人に声をかけたあと、おれの顔を見てニッコリと笑う。 「……で、君が麻琴くんだね? いらっしゃい。ここでは遠慮はいらないよ、ゆっくりしていって」  そう言うと、お客さんから注文が入ったらしく、「はーい今行きますー」と返事をしながら、パタパタと走っていってしまった。 「ここのレストラン、週三くらいでバイトに入ってるんだけど、今日は休みなんだ。けどせっかく来たからちょっと手伝ってくるよ。蒼人、麻琴くんを上の席に連れて行ってやって」  紅音さんの言葉に、蒼人が「ん……」と小さく返事をすると、紅音さんは奥の方へ行ってしまった。  蒼人に連れられて行った先は、二階から行ける、海を一望できるテラス席だった。 「今日は、俺達だけここを使えるようにしてもらってる」 「……え? いいの? お店忙しそうだったけど」 「ん、大丈夫」 「なんか、申し訳ないなぁ」 「……邪魔、されたくないから」  ──え? 今なんて言った?  何気ない会話をしていただけと思ったのに、蒼人の意外な言葉が耳に飛び込んできた。  ただの聞き間違い? いやでも確かに言ったよな? どういう意図で言ったんだ?  おれは頭の中が混乱しているのに、蒼人は何事もなかったように、椅子を引いておれを座らせた。 「ここのハンバーグは、美味い」  今までならランチは、ファミレスとか喫茶店とか、歌うついでにカラオケボックスとかだったのに、色々とあったから気遣ってくれたのかも知れない。  紅音さんのバイト先なら気も知れているし、こうやってオープンなテラス席を選んでくれたんだと思う。 「……ありがとな。気を遣わせちゃって」 「ん? なにかしたか? ──あ、ここのチーズケーキも美味い」 「ううん、なんでもない」  返事をしたから、ちゃんとおれの言葉は聞こえてたんだろうけど、蒼人はゆるりと話題を変えた。  意外に甘いもの好きな蒼人は、メニューを見ながらニコニコと指さした。相変わらず、あまり表情は変わらないから、周りから見たらそんなにニコニコしているようには見えないけど。

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