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22. 二人での食事 ③
そこから少しメニューとにらめっこしたあと、おれはチーズハンバーグとミックスベリータルトのセット、蒼人はトマト煮込みハンバーグとレアチーズケーキのセットを頼んだ。
運ばれてきた料理は写真よりもさらに豪華で、きっとおまけなんかしてくれたんだろう。ありがたく、二人で分け合って食べることにした。
小さい頃から、おれがあれもこれも食べてみたいと悩むから、いつも蒼人は違うものを頼む。そして二人で料理を分け合って楽しんできた。
「あーん」
ハンバーグを切り分けていると、蒼人は自分が食べるより先に、おれの口へと運ぼうとしている。
「お、おう」
ここで断るのも不自然だし、大人しく口を開けると、ハンバーグをおれの口にいれた。そのまま咀嚼するのをニコニコと眺めている。
「んまっ」
思わず出た声に、蒼人はさらに満足気に微笑んだ。
「な。美味しいだろ?」
コクコクと頷くと、今度は蒼人が「あーん」と言って口を開けた。
うっ……。これは、まぁ、そうだよな。おれだけってのも変だよな。
自分の皿の上のハンバーグを一口大に切り分けると、蒼人の口へと運んだ。
「美味い」
「……そ、そっか。うん、良かったな」
なんでそんなに嬉しそうなんだよ。ハンバーグが美味しすぎたからだよな? 蒼人の頼んだ煮込みハンバーグがすげー美味かったから、おれの頼んだチーズハンバーグだって美味いに決まってる。
自然とドキドキと高鳴ってしまっている胸を鎮めるように、自分のハンバーグと向き合った。ん、たしかに美味い。これじゃあ、蒼人が嬉しそうになるのも分かる。
ニコニコのままの蒼人は、時折嬉しそうにこちらをちらりと見ながら食べ進めていた。
デザートが運ばれてくると、蒼人は自分の膝の上へ乗るように促した。そして甲斐甲斐しくデザートをおれの口に運ぶ。
これはアルファ特有の給餌行動と言われるものらしい。好ましく思う相手にする行為。……だから、おれは少なからず蒼人に好かれてはいるはずなんだ。
でも、蒼人は家のために、結婚だって自由には出来ないのだろう。
佐久 くんが言っていた、『森島くんが内密に婚約をしたという噂を聞いたんだ』という言葉をまた思い出してしまっていた。
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