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24. 社会科の先生のヒート ①
それからしばらくして、飯田 くんがだんだん休みがちになっていった。
蒼人 に続いて、結婚の準備が本格的になってきたんだろう。
前ならスマホで連絡したり出来たけど、今は連絡するすべがない。それを言い訳に、飯田くんが休んだ日は、正直ちょっとだけホッとした。
仲の良い友達であることは変わらないけど、どうしても蒼人と飯田くんの事を、知りもしないくせに色々と考えてしまう。
ポツポツと休みがちだった飯田くんが、先週の水曜日から一週間まとまった休みを取っていた。
おそらくヒートだったんだと思う。休みに入る前に、少し香っていた気がするから。
友達でもデリケートな話だから、面と向かって聞けるわけでもなく、おれの憶測なんだけど。
その休み明けの飯田くんから話があるからと呼び出された。
教室では出来ない話だから、放課後、人気の少ない第二校舎の空き教室で待っていると言われた。
いよいよ、その時が来たのかな。
でも、蒼人はどうしたんだろう。てっきり、二人揃っておれに『引導を引き渡す』のかと思っていた。
いや、二人にとってはそんな事ではないのかもしれないけど、蒼人への気持ちを自覚したおれにとっては、まさにその言葉がふさわしい。
重い足を引きずるように、第二校舎の二階の一番奥まった空き教室へとたどり着いた。
その隣の教室に違和感があるなと目を向けたら、どうやら前にはなかった、オメガのセーフティールームにリフォームされていた。
セーフティールームは急なヒートになった生徒を守るために、校内に何か所か作られていて、匂いも完全にシャットアウトし、オメガ以外入れないようなシステムになっている。
ただ、こんな奥まったところに作っても、使う機会はあるのだろうか?……そう思いながら指示された教室の扉を開けると、中には誰もいなかった。
あれ? ……と、時計を確認するも、指定された時間を少し過ぎていた。ここに向かうのは気が重く、約束の時間を少し過ぎてしまったらしい。
なのに、まだ飯田くんは来ていない。何かあったのだろうかと心配になるけれど、まだ少し時間が過ぎただけなので、このまま教室内で待つことにした。
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